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genta
窓際に椅子を置いて外を眺めた。
雨の音が聞こえる…
携帯の通知が何件か溜まっていたけど
正直、返信をする気力がない。
なんて、送ったらいいかわからない。
もともと文章を書くのは得意じゃない
だって喋った方がはえーし…
それに悩んで悩んで、ようやく文字にした気持ちは
だいたい伝わらない。
言葉が足りないのか、捻りすぎてるのか
自分じゃよく分からないけど、
真摯に書いた言葉でさえ
誤解されて誰かを悲しませてしまうことだってある。
誰も悲しませたくなんかないのに。
雨粒が窓硝子に打ちつけて、雨の音をより一層強くさせた。
雨は雨で、気分が下がるから嫌だなって思うし、
あれ以来、晴れを見ると虚しくなる。
だけど俺が今、目にすることの出来る
今までと変わらないもの は、
この景色くらいだから。
溜まっていく携帯のメッセージも
無機質で殺風景なこの部屋も
独特な病院の匂いも
晴れより嫌い。
今と昔を容赦なく切り離して、
現実だと分からせてくる。
この窓から見える空だけが唯一何も変わらない光景で
ずっとそこにあって、これからもここにある。
俺がどんな感情を抱こうが、変わり果てようが、
目に映るこの景色は今も昔もちっとも変わらない。
その事実に安心感すら覚えた。
空に逃げてる時だけが、俺の心を少しだけ楽にさせた。
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作者名：おもち | 作成日時：2021年10月1日 10時
