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公演終わりの脱衣所で

クラと海斗が元太のことを話していて

俺は、あのことを言うべきか迷っていた。




でも、次々に繰り広げられる会話は明るいものではなくて、

脱衣所に漂う空気の中に、

モヤモヤした黒い渦みたいなものが

俺にはに見えた。




ハッキリと見えた…




この黒い渦をこれ以上増やしてどうすんの…って


半ば呆れ気味に自分の考えを潰して、


その場でひっそりと飲み込んで、


クラの肩を引き寄せ、纏わりついていた

その黒い渦を必死にかき消した。




「ちょっと、きついって!重い重い!」


「クラ、ちっちゃいから潰されてんのウケる(笑)」





こんな曖昧で本当かどうかもわからず、

その答えを聞くことすらできなかった話を

みんなにすべきじゃない。




✴︎

 


プシュッと音を立てて発泡酒を開けた。


喉が渇いていたわけでもないけど勢いよく飲んで

ぷはぁっと息を吐き出すと、

いくらか喉に突っかかっていたものが

取れたような気がした。




でも、それがただの誤魔化しだってことはわかってる。

だからふざけた飲み方はしない。



でも、いつもより酔いが回るのが早い気がする…


ふわふわし出すと色々な考えが

頭の中で巡り出す…



気持ちを抑えるなんて、やっぱり俺には無理だ。




気がつけば、胸をざわめかせて

どうしようもない気持ちになって

のえるくんの部屋のドアを叩いて、

俺は全部ぶちまけた。




のえるくんは動揺はしてたけど、

俯瞰で考えてそれから宥めるよう俺のことを見た。


「言ってくれてありがとね」



それから、

「正しいか判断できないから、

まだ、みんなには言わないでおこう」


はやる気持ちを抑えて、

「いずれちゃんとした形で話されるはずだから」と。


時計の針はとっくにてっぺんを過ぎた。


「ゴメン、話し過ぎた」

俺は、のえるくんにありがとうとごめんねを言って

部屋を出た。



この気持ちをはんぶんこさせてしまった

申し訳なさはあったけど、

隣にいると安心できた。



そのことについて、その後言葉を交わすことはなかったけど

何となく通じ合っている気がして

勝手にのえるくんのところにいって心を落ち着けた。

 
 
 

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作者名:おもち | 作成日時:2021年10月1日 10時

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