虎に翼 #2 (ページ5)

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umi

『いや、厳しいかと…はい、舞台は、』

あの話を聞いた時、

すぐに元太に聞いてやろうかと思った。

通話ボタンを押そうとしたけど、

なんか言ってたな…と頭をよぎる。

小さい頃にお見舞いとかでしか病棟に行ったことないから

ルールとかよく分かんない、

でも電話は迷惑かけるからダメだって

元太に言われていた。

別にその時は電話とかしないから深く捉えてなかったけど

電話くらいいいだろ。なにダメって。

今は文字より声が聞きたい。

だけど言われた手前、電話をかけるのはやっぱり失礼だから

しかたなく文字にしてみる。

至ってシンプルな内容

あとは送るだけなのに

その行為に指が動かなくて戸惑う。

送信すればいいのに躊躇っている。

なんでだ、

もしかして、

なんて返事がくるのかビビってんのか？

このモヤモヤした気持ちを消したいだけだったのに、

さっきまでの勢いはどこかにいってしまって

携帯画面を見つめたけど、埒が開かない。

トーク画面をスワイプして気分転換に

お気に入りのゲーム実況者の配信を見た。

気分転換のはずが、まったく内容が頭に入ってこない。

すごいプレイや面白いことを言ってるはずなのに

映像は目から滑り落ちて、

音声はただの雑音になった。

結局、もう一度自分の打ち込んだ文字を見つめ直したけど

やっぱりそれ以上指は動かなかった。

　
　
　