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miyachika
気がかりなことがまた増えて、
楽屋の化粧台の前で
胡座をかいて膝に立てた腕に
頭を乗せてぼーっと鏡の中の自分を見つめる。
松倉のことに関しても、元太のことに関しても…
俺が率先してなにか出来てたか?って言われたら、
今のところ何も出来てない気がする。
皆のことを上手くまとめられないでいる自分の不甲斐なさ
みたいなものに時々…飲み込まれそうになる時がある。
「最近、海人どうしたのかな」
「俺に聞かれても」
機嫌がいいわけでも悪いわけでもなく…
でも移動はいつも以上に寝てるし、
何となく如恵留くんのところにいる。
「ちゃかなら知ってんのかと思ったけど」
同室のしめが、準備やらなにやら忙しなく
動かしながら俺に話しかけてくる。
「聞いてみたらいいじゃん本人に」
「いや、まーそーなんだけどなんかタイミングなくない?」
「如恵留の後ろついてまわってるけど」
「如恵留に聞いたらね、
しめが心配するようなことは無いよって」
「じゃーいいんじゃないの?」
「でもなんか、気になるんだよね」
アイロンあっためないと…って言いながら、
コンセントに差し込む。
「あまり考えすぎると、他のことに集中できなくなるよ」
これは、ほぼ自分に向けての言葉だけど。
「それもそーなんだけど…こーいう時、じゃーはい飯いこう!ってできたらだけど、そーいう訳にも行かないし…」
「んー、まあ……」
松倉の時もたいして何も出来ず
今回も…上手く舵を切れず、
「ねえ、大丈夫?」
「如恵留が言うんだから大丈夫なんじゃない」
「ちがうよ、今のはちゃかちゃんに言ったの」
「大丈夫?、なんか色々気負ったりしてない?」
気づいたら、忙しなかったしめの動きが止まって
俺のことを見ていた。
不意に向けられた自分への言葉にどきっとする…
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作者名:おもち | 作成日時:2021年10月1日 10時