虎に翼 #2 (ページ12)

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genta

「これ以上は…」

気づけばここにきて、１週間以上が経っていたし、

俺がみんなからの連絡を無視してるから…

マネージャーはかなり問い詰められたらしい。

「会ってほしい」

胸を抉られる感覚がした。

✴︎

＂誰かの推薦で勝手に履歴書が送られていた＂

この世界はそんな人たちの方が大半だった。

だけど、俺は違った。

自分で送った。

アイドルになりたくて、自分の意思でこの人生を選んだ。

思ったより犠牲にしなければならないことが多かったけど

でも、それでもアイドルをしていたかったから、

それ以外のものは手放した。

正直もう、手放すのが怖い。

これ以上、何かが変わってしまわないように

ギリギリのところで縋っていたかった。

会って話を聞いてほしい。

もう全てをぶちまけたい…

だけど、それを言う勇気も

受け止めてもらえる自信もないくらい

俺はもうダメになってしまった気がした。

…そんなことを思う情けない自分も嫌だった。

だから、会いたくなかった。

会ったら、終わってしまうから。

終わるのが怖い。

止まることない時間の中で、

止められるはずもないのに、

必死に俺は止めようとしていた。
　
　
　