それぞれの朝 side：一松 ページ49
家まで送ってきたところまでは良かった。
鍵開けて玄関に入った瞬間、Aが倒れた。
驚いて近づけば寝息が聞こえて少しホッとする。
そういえばこいつの家族は？
電気はついてなかったしもう寝てるのかも。
とりあえず起こして部屋まで案内させる。
ほとんど寝ていて立つことは無理そうだから仕方なく抱き抱えて移動した。
ベッドに放り投げようとしたけどこいつの手が俺の服を離さない。
「…帰りたいんだけど。」
仕方なく寝かせてたものの起きる気配もなければ手を離す気配もない。
「アンタが悪いんだよ」
ぐっすり寝ているAを端にやって自分もベッドに入った。
********
朝、Aの叫び声で起こされた。
「うるさい。」
思わず殴ってしまった。
殴られた本人は僕が殴ったところを撫でながらなんでここにいるんだと聞いてくる。
覚えてないのか…。
昨日のことをまだ起きてない頭でできるだけ思い出して説明する。
ごめんと謝られたけどそんなのどうでもいい。
僕まだ寝たいんだよね。
普段こんな時間に起きないし。
そもそもよく寝れてないし。
女の隣で寝るんだよ？
無理無理。寝れるわけがない。
「はぁ…僕まだ眠いから、黙ってて。」
それだけ言って僕はまた眠りについた。
********
目を覚ますとAがいなくなっていた。
部屋の中はさっきよりも明るくなってて時間が経ってることが分かる。
足音がしてドアの方を見るとAが部屋に入ってきた。
「どこいってたの。」
「あ、起きたんだ。おはよう。」
「起きたらいなかった。」
「うん、ごめん。」
「……。」
髪が濡れてる。
風呂にいってたのか。
なんとなく手を引っ張れば簡単にベッドに倒れてきた。
「わっ…なに？どうしたの？まだ髪完全に乾いてないんだけど。」
首筋に顔をうずめる。
甘ったるくなくて清潔感のある匂いだ。
なんだか安心する。
「い、一松くん…？」
「ん…。」
「…はなして？」
って僕変態みたいじゃない？
いや、まあ男なんてみんなそんなもんだけど。
恥ずかしくなって寝たふりをした。
「……。」
「一松くん？……寝てる。」
すぐ離れるだろうと思ったけど、Aは小さくごめんねと呟くとそっと僕を抱きしめた。
壊れ物に触るように、優しく、そっと。
驚いて動きそうになったけど我慢する。
今僕は寝てるんだから。
しばらくすると僕から離れて出ていった。
「ねぇ、アンタは僕に誰を重ねたの？」
なんでだろう。
胸が苦しい。
あぁ、本当に眠れていれば良かったのに。
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杏月(プロフ) - 雛音さん» こんばんは。ご報告いただいた箇所訂正しました。ありがとうございますm(_ _)m (2015年12月23日 23時) (
レス) id: 9096dccfc2 (このIDを非表示/違反報告)
雛音(プロフ) - こんばんは。呼び方のページでスーパーがスパーになっていますm(*_ _)m (2015年12月23日 20時) (レス) id: d4ce378bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏月 | 作成日時：2015年11月26日 8時
