【魔法使いの嫁】はじめての恋は魔法使いと…【４】

み、見ないでください ページ6

*



【私、リンデルさんに恋してるんだ…】



自分の気持ちに気がついてすぐ




【一緒に生きていきたいと思っておる…娘なら…おる】




自分の好きな人には

他に好きな人がいるということを知った




【その娘は、わしのことなんて眼中にない。己の目的以外、何も見えておらんからな】



そのリンデルさんの言葉を

私は不思議に思って



【あの…、そんな闇を背負ってそうな人のどこが好きなんですか？】



そう答える私に

リンデルさんは吹き出して心底楽しそうに笑ったんだ




「…ッ」


あの時の記憶が

脳裏を過って


私は驚いたようにリンデルさんを見つめ




「リンデルさんが言ってた…好きな人、って…」



思わず頭に浮かんだ言葉を




「人に興味を持たない闇を背負ってる想い人って、私のことですか…！」



まるで遠回しに悪口を言われたことに怒る反応をする私に



「そんな言い方はしておらん。」

おぬしが自分で言ったことだろう、とリンデルさんは呆れたように眉を寄せて答える




「…」



咄嗟に思ったことを口に出したが


言い終わってから

自分の言った言葉を



頭の中で

繰り返す



＿＿リンデルさんが言ってた


＿＿想い人って


＿＿私のことですか




「ッ…」




それに気づいたとたん


足の爪先から

頭のてっぺんまで


熱が込み上げて



「…え、…えっ…あ」



戸惑うように下を向き


息ができないくらい


胸が熱くなって


ドクンドクンと


心臓がすごい音を立て


騒ぎ出す





「A…？」



名前を呼ばれ

顔を上げれば


まだ伝わらんか？…と困ったように私を見つめる水色の瞳と目が合い




「ッ…」



リンデルさんの顔を見た瞬間

カァアアと顔が熱くなって



一瞬で顔を赤くした私に


驚いたようにリンデルさんは瞳を揺らし




見られたくないと

私は咄嗟に両手で自分の顔を覆った




み、見られたくない…


こんな顔…


真っ赤で…顔から火が出そうで…


恥ずかしい



両手で顔を隠した暗闇の中

とにかく落ち着こうとするが



自分を守るためのその壁は

片手を掴まれたことによって


簡単に崩され



「…ッ」



顔半分覆っていた私の手首を掴んで

まるで「隠すな」と言われてるみたい


真剣な表情で


リンデルさんは私を見つめた




熱のこもった瞳に見つめられ

私の顔はどんどん赤くなっていく




「あ、…み、見ないで、くだ…さい」



残ったもう片方の手で


なんとか顔を隠そうとしながら


顔を背けるが


残ったもう片方の手も掴まれ



彼の方へと強制的に体を向けさせられた




*

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