【魔法使いの嫁】はじめての恋は魔法使いと…【４】

おぬしが欲しい ページ1

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【ここでのこと、忘れません。家に帰っても手紙書きますね、お礼もしたいのでなにか欲しいものがあったら遠慮なく言ってください】



もうすぐ訪れるリンデルさんとの別れに

彼に今までのお礼を伝えると



【おぬしは本当に目が放せん娘じゃった…】



寂しそうに微笑みながらもリンデルさんもそれを受け入れてくれて



頭を撫でてもらえると思ったその大きな手は


私の後頭部に回り



少し強引に引き寄せられ


ふわりとおひさまの香りに包まれ





「わしは…おぬしが欲しい…」





熱のこもった低い声で

そう呟かれた



「ッ…」



鼻を掠めたおひさまの香りに数秒経ってから自分がリンデルさんの腕の中にいることに気がついて


カァアア、と全身に熱が込み上げ


私を包み込むリンデルさんの熱に


頭の中が真っ白になる




「え…、あ、あ…の…」



心臓がバクバクと跳ね上がり

うまく言葉が出てこない



"おぬしが欲しい"



突然の言葉に頭がついていかない


"私が欲しい"って…


リンデルさんの口から


そう聞こえたんだけど…




【お礼もしたいのでなにか欲しいものがあったら遠慮なく言ってください】



今さっき私が言っていたことの返事…なんだろうか…


欲しいものは、私…？

物でなにが欲しいか聞いたのだけど…


からかわれてる…？

いや、でも、そんな感じには…



「〜ッ」



まず落ち着こうとギュッと目を瞑って彼の言葉の意味を考えるが…


突然のその言葉に

頭は混乱するばかり


心臓がバクバクしすぎて頭が働かない




「リ、リンデルさん…あの、」



頭を上げるのが恥ずかしいので、そのまま彼の胸に頭を預けながら、必死に言葉を紡ぐ




「ほ、欲しい物…の話しでしたら…、私はその…物じゃないので…あの」



目を回しながら必死に伝えるがうまく言葉にならない


私が混乱してることも


戸惑っていることもリンデルさんはわかっているのに


後頭部に添えられた手と腰に回った腕の力は緩む気配はない



「…」



少しの沈黙

自分の想い人に抱きしめられ


どうしたらいいのかわからず

落ち着かずに目を泳がせる私


抱きしめたまま一言も喋らない彼



「あ、あの…っ」



このままじゃ心臓がもたないと、もう一度口を開こうとした時




「…嫌か？」



耳元で再び熱っぽい低い声が響く



「え…」



私を抱きしめる腕の力が少し強くなって

もう一方の私の後頭部に添えられていた手もさらに私を抱き込む




「わしに、こうされるのは…」




少し不安そうな優しい声で尋ねられた




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