失敗 ページ23
いじりに苦しんでる人は、表ではヘラヘラしていても影では泣いている、なんてパターンがほとんどだ。
「…そんなこと聞いてどうするんですか?」
『可愛い後輩のお悩み相談に乗ってあげようと思ったんだよ』
「俺は別に…悩みなんて…」
チーノの声がだんだんと小さくなっていく。チーノは俯いていて、どんな表情をしているのかわからない。
『あるでしょ?悩み。どんなに小さなことでもいいよ』
チーノが急に、バッと顔を上げる。
ああ、いつものニコニコとした偽物の笑みだ。
私は話を聞くのを失敗してしまったらしい。
「俺もう帰りますね!」
チーノがそう言い、小走りで公園から出ていく。
……あっやば!アイス溶けてる!
いつのまにか、私の安い棒アイスはほとんど溶けており、ボタボタと地面にシミを作っている。
あー、なけなしのお金払って買ったのに…
いや、そんなことよりチーノだ。次は絶対にチーノの口から悩みを言わせてみせる。
そう決心して、家に帰る。結局、アイスあんまり食べれなかったな。
『ただいまー』
玄関の扉を開け、家に入ろうとした。
…なんかデジャブ。
そう、また扉が開かないのだ。
え、なんで?
結婚式のときは警備員の人に鍵をかけられたからだけど、今家にいるのは両親だ。両親が私のことを締め出すわけがない。
そう思い、何度もドアノブをひねる。
ガチャガチャガチャ
だめだ開かない。あ、そうだ、スマホ!
スマホを開くと、お母さんから1件のラインがきていた。
[玄関の扉が壊れちゃって開かないから、今日はお隣さんの家に止めてもらってね。話はもう通してあるから]
は?????????
え、壊れてるのこの扉?てかお隣さんの家ってショッピくんの家?まじで?
少しパニックになりつつも、一旦、自分の家から離れ、ショッピくんの家を見つめる。
なんて言って入るの…?
ショッピくんとは午前中に話したばっかだが、ショッピくんの両親とはあまり話したことがない。引っ越してきたときの挨拶が最初で最後だ。
そう考えるととても気まずい。心なしか体もそわそわしてきた。
ま、まぁ行けばなんとかなるだろ。
そう思い、ショッピくんの家のドアノブに手をかけようとした瞬間_____
ガチャ
「なにやってるんですか、Aさん」
私が開けるより先に扉が開いて、中からショッピくんが出てきた。
122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せい(プロフ) - たぴくんさん» コメントとても嬉しいので、早めに返してしまうんですよねw。需要ありと言っていただけて嬉しいです! (2022年9月12日 18時) (レス) id: 028c1dba0d (このIDを非表示/違反報告)
たぴくん - 返信早っ!更新気長に待ちます!後需要ありありですよ! (2022年9月12日 17時) (レス) @page28 id: f184817549 (このIDを非表示/違反報告)
せい(プロフ) - たぴくんさん» 可愛いなんて初めて言われました…!お言葉とっても嬉しいです!ありがとうございます! (2022年9月12日 17時) (レス) id: 028c1dba0d (このIDを非表示/違反報告)
たぴくん - とってお話面白可愛くて大好きです!勇敢で友達思いな主人公ちゃん可愛いー❤更新楽しみにしてます! (2022年9月12日 17時) (レス) @page27 id: f184817549 (このIDを非表示/違反報告)
せい(プロフ) - ゆず。さん» 需要ありと言っていただけて、とても嬉しいです!その言葉だけで一生頑張れます!ありがとうございます! (2022年9月12日 7時) (レス) id: 028c1dba0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せい | 作成日時:2022年8月17日 19時