クズマフィアはクソガキ6人から愛を知る。

Mafia . 26 ページ29

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side 十四松 。





主人の前にしゃがみ込み、大きな声で「主人！！どうしたの！！」と聞いた。
主人は、


『……やらなきゃいけない事、たくさんあるから…戻って来た。でも…』



と、言ったところで俯いてしまった。

そして、いつもの主人と違う。何かが違うと思った。
いつもの主人は、こんなに寂しそうな顔をしない。
いつもの主人は、今すぐ泣いてしまいそうな顔をしない。

僕は、伸びきった袖で主人の両手をぎゅっと握り、



「主人は1人じゃないよ！！






僕達六つ子がいるよ！！」





だから、笑って？

いつもの怖い顔して？




わはーって、いつもの笑顔で、僕は言ってから、トド松や一松兄さんたちにやるように思いっきり抱きついた。

そして、抱きついてわかったことがある。
主人が、少しだけ、ほんの少しだけ震えていた。


あの、怖くて、

クズで、

カッコよくて、

強くて、

たまに優しいあの人が。あの主人が。

震えているということに気付いたとき、僕はこの人に自分の愛情を与えたいと思った。
今この場で、こんな考えは必要ないんだろうけど。僕は、愛を与えたい、愛を教えたい、って思った。

そして、ある言葉を思い出した。
それは、おじさんの" お願い事 "のこと。


おじさんは別れる前に、あの人に愛を与えるように、愛を教えるように、って言われたっけ。


僕ね、今気付いたよ。

どうやったら、僕の愛情を伝えられるか。

やり方は、僕らしくないかもしれないけど。

伝わるなら、伝えられるなら、_________






僕は、




伝えたいから、



愛を知らない主人に、




愛を伝えたい、与えたい、









僕は主人の頬にそっとキスをした。









__________ 頬へのキスは親愛と厚情の意味 。

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