Mafia . 17 ページ20
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目を開けると、自室の天井が目に入った。
顔を横に向けて、近くの丸テーブルの上にある時計で現在の時刻を確認する。
昼過ぎ。
今日の用事が夜でよかったと思う。朝からだったら大変だ。いや、大変だ。では済まない。
所々痛む身体をゆっくりと起こす。
身体を起こし、クローゼットの前まで移動して、着替えを済ませる。
部屋を出ようとしたタイミングで、部屋のドアが開いた。
入って来たのは、六つ子の長男。
「Aさん、おはよ」
へらりと笑いながら言う長男。
俺の部屋に入りドアを閉める。
そして、俺の手を引っ張りベッドに座らせる。
俺の手を取ったまま、前に無言で立つ長男。
『なぁに、俺に何か用事でもあんの?』
長男は、両手で俺の手を取ると、小さな声で聞いてきた。
「ねぇ、Aさん。…夜中、何があったのか、覚えてる…?」
『…覚えてるよ』
やっぱり、夜中に起きたことを聞いてきた。
聞かれるだろうと予想はしていたが、いざ聞かれると何とも言えない気持ちになる。
『夜中のこと、全部はっきりと覚えてない。所々だけ。…心配した?』
クスッと笑いながら言うと、長男は俺の膝の上に乗り抱き着いてきた。
「心配したよぉ…だって、Aさん、呼んでもなかなか返事してくれないし、…顔とか、腕とか、傷だらけだし、…」
ボロボロと涙を流しながら言う。
俺は、片方の手をおそ松の背中にまわし、もう片方の手で頭を撫でる。
「だから、Aさん、死んじゃうんじゃないかって、思った、」
死んじゃうんじゃないかって思った。
それを聞いた時、此奴は優しい子何だなって思った。俺には、優しさなんてものわからないけど。
『…お前さ、おっさんから俺のガキの頃の話聞いたでしょ?……殴られるのも、蹴られるのも、俺は愛情表現だと思ってるの。だからさ、やめてよ。そんなに心配されるとさ、
…俺、自分がわからなくなっちゃうじゃん』
自分のことがわからなくなった。
記憶があるとかないとか、そういうのじゃなくて。
愛情表現がおかしい、なんてよく言われてきたけど、俺には普通だったから。
これが当たり前だったから。
何とも思わないと思ってた。
でも、やっぱり、変だったんだ。
だから、そんなこと言うんだろ。
「じゃあさ、俺がAさんに、愛を教えてあげるよ。」
__________ 俺に歪んでない愛を教えて。
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ミクス - エ?何コノ話? 物凄くいいですね!私にもこんな文章力があれば…! ていうか本当に良い話ですね!クズマフィア?変な愛情植え付けられたただのイケメンジャマイカ! (2018年10月29日 20時) (レス) id: 589b89f7ba (このIDを非表示/違反報告)
おみや(プロフ) - 白雪?さん» コメントありがとうございます!私もメイドさんとくっつけたいなって思いながら書いてます…← (2018年4月28日 22時) (レス) id: b5c4769cf4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪?(プロフ) - 、、、もうメイドさんとくっついてよ、、、切ないよ、、、 (2018年4月27日 20時) (レス) id: 8403ebf52e (このIDを非表示/違反報告)
?___ニャチャ??*????(プロフ) - おみやさん» 待ちます!!待ちます!!ずっと待ってます!!!!!!!!!!!!!!! (2018年4月5日 19時) (レス) id: b942457534 (このIDを非表示/違反報告)
おみや(プロフ) - ?___ニャチャ??*????さん» コメントありがとうございます!大好物ですと…!?あ、あ、死なないでください!笑 亀更新ですが気長に待って頂けたら嬉しいです…! (2018年4月5日 16時) (レス) id: b5c4769cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おみや | 作成日時:2013年10月5日 22時