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Amazonで買った本が届いた。
実はVに内緒で韓国語を勉強しようと思っている。
今後Sと話す機会がまたあるかどうかはわからないけど、この間ビデオ通話をしてみて、やっぱり覚えて損はないと思ったのだ。
「ハングルは……読めなくてもいいかな」
ひとまず音だけを覚えることにして、冊子に付属していたCDを取り出してパソコンにセットした。
「あんにょん〜V〜」
「アンニョン、A」
あれから時々ビデオ通話をするようになり、Vはその度いつもキャップにマスク姿だった。
かくいうわたしもマスクは必ず着けるようにしている。目元は化粧でいくらでも誤魔化せるから、少しでもVにかわいいと思われたくて。
「〈今日もSが……〉」
「あはは! 〈Sらしいね〜!〉」
SとVはルームシェアをしているだけでなく、なんと職場も同じみたいでVの話に度々登場する。
それから、Vから聞いたわけではないけどどうやらルームシェアしている人はS以外にもいるみたいで、たまにVの部屋の外で言い争いをしているような声が聞こえてくる。
シェアハウスってやつだろうか。学生アパートで一人暮らしのわたしとしてはちょっと羨ましい。
「〈Aは恋人とかいないの?〉」
話が一区切りついたところでVが急に言うものだから、わたしはびっくりしてスマホを落とした。
「〈どうかした?〉」
「〈ごめん! スマホ落としちゃって〉」
へへ……と苦し紛れに笑う。
まさかVの方からその話を聞かれるとは思わなかった。
でももしかしてこれってVに彼女がいないか確かめるチャンスなのでは……!?
「〈い、いないよ〜! Vは?〉」
ドクドク脈打つ胸をおさえながらVの答えを待つ。
「〈残念ながらいないよ〉」
よっっっっっしゃ!!!!!
思わず天井に向かってガッツポーズ。
「〈Aにボーイフレンドがいるならこうやって通話してるの申し訳ないと思ってさ〉」
「〈あ、ああ、なるほどね……〉」
やっぱりVは優しい。
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リリィ - 偶然にもそういうことが起こればイイな〜という期待と先行きがどうなるか楽しみなので書いていただけると助かります♥ (1月5日 1時) (レス) @page13 id: 9fb18e58d9 (このIDを非表示/違反報告)
らちょ(プロフ) - しかもテテちゃんのお話に書き込みしてしまつという…重ね重ねすみません! (2021年6月26日 18時) (レス) id: e689790514 (このIDを非表示/違反報告)
らちょ(プロフ) - んーさん初めまして!すみません、途中で送信を押してしまってたみたいです。。そうですグクちゃんのお話読みました!お話に引き込まれて、一気に読んでしまいました。執筆大変かと思いますが応援しております! (2021年6月26日 18時) (レス) id: e689790514 (このIDを非表示/違反報告)
んー(プロフ) - らちょさん» コメントありがとうございますージョングクのお話読んでいただけたんですかね?こちらも共々よろしくお願いいたします! (2021年6月26日 15時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
らちょ(プロフ) - ジョングク (2021年6月26日 14時) (レス) id: e689790514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:んー | 作成日時:2021年6月7日 20時