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学校に行く気になれなかった。今まで勉強を頑張ってきたのはなんなのか、もう何に対してもやる気が起きない。
でもミンギュの部屋にいるのも嫌で、登校して保健室に向かった。
「すみません、気分が悪いので休ませてください……」
「どうぞ、学年とクラスと名前を書いて体温を測ってね」
ベッドに横になると、養護教諭が座る椅子の軋む音が聞こえてくるくらいであとは静かなものだった。
もう何もしたくない。家にも帰りたくない。
カバンの中のスマホのバイブレーションで目が覚める。いつの間にか眠っていたようだ。
チェ・ハンソル過去問まとめたけど、今日会えそう?
返信する気がおきなくてスマホの画面を閉じる。
そのままじっとしていると、仕切りのカーテンの外から「大丈夫? 授業に出れそう?」と声をかけられて体を起こした。
カーテンを開けると相当よろしくない顔色だったのか「あら大丈夫?」なんて言われる。
「すみません、体調がすぐれないのでまだここにいてもいいですか……?」
「もちろんよ、担当の先生には連絡しておくからね」
何をするでもなくベッドに腰掛けてぼうっとしていると、チャイムが鳴って廊下からガヤガヤ声がしてきて、ああ放課後なのかなと思う。
帰るのも億劫でそのままぼんやりしていると、保健室のドアが開く音がして聞き慣れた声がした。
「お世話になります、Aのようすは……?」
「ああ、保護者の方ですか? キムさんはそちらのベッドに……」
カーテンがそっと開けられて、ミンギュが顔を出す。ああ、今一番見たくない顔なのに。
「A、どうした? 学校から連絡あってびっくりして会社早退しちゃったよ」
わたしの隣に腰掛けながらそう言ってミンギュが笑う。
背中に回される手をふりほどいて、あんたのせいだと言ってやりたい。
そんな勇気も気力もないわたしはそのままミンギュに手を引かれて学校を後にした。
「まあ、たまには勉強したくない日もあるよな」
電車に揺られながらミンギュが言った。
優しくされたって、ミンギュへの疑心はもう消えない。
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んー(プロフ) - ??さん» 閑話休題みたいなお話は書きたいなと思っていたので、今後何かネタが湧き次第追加していこうと思っています。ミンギュ視点も書きたいですし…。応援ありがとうございます!頑張りますー! (2021年6月12日 1時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
んー(プロフ) - ??さん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!全てですか!?お気に入り作者登録までありがとうございますー!嬉しいです!思いつきで色々書いてます、楽しんでいただけたら幸いです! (2021年6月12日 1時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - もしよかったら親とミンギュ間ではどういう話がされていたのか、なぜお母さんもいとこと結婚ということに疑問を持たなかったのか、この後どうなっていくのかがとても気になるので書いていただけると嬉しいです!これからも他の作品含め応援していますお疲れ様でした。 (2021年6月12日 1時) (レス) id: cf1d61b197 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 完結お疲れ様でした!楽しく読ませていただきました!実はんーさんの作品は全て読ませていただいていて、お気に入り作者登録もしてます...笑 (2021年6月12日 1時) (レス) id: cf1d61b197 (このIDを非表示/違反報告)
んー(プロフ) - 長ネギさん» はじめまして!お気に召してよかったです〜!ミンギュはセブチ内でヤンデレが似合うランキング3位内に入ると思ってます。バーノンの方も読んでいただきありがとうございます〜!頑張ります! (2021年6月8日 21時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:んー | 作成日時:2021年6月5日 20時