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それからの学校生活は、ひたすらAを避けて過ごした。
学年が上がってクラス替えがあった時、Aと離れてホッとした反面、がっかりしてしまって自分の未練たらしさに嫌気がさした。
高校を卒業して、大学に入り、俺は二十歳になった。
昔馴染みから連絡があって、成人式の後同窓会があると知った。
俺はふとAのことを思い出して、自嘲する。
なに期待してんの?
でも、一目会えるだけでもいい。
もし来なかったら、それで吹っ切れるかもしれない。
そんな思いで、参加すると返事をした。
「ジョンハンくん相変わらずかっこいいね〜!」
「彼女いるの?」
同窓会は駅前の居酒屋の一室で行われた。
酒が入ってめんどくささが増したかつてのクラスメイトが、わかりやすいスキンシップをはかってくる。
それに適当に笑って流しながら、俺は店内を見渡した。
Aは……いない。
そっか。
少し残念な気持ちと、どこか安心したような気持ちがない混ぜになり、それをビールで流し込む。
あの時の気持ちは、気の迷いだった。
そうやって消化する以外の方法がわからない。
「ごめん、遅くなっちゃった」
「おっ、久しぶりー! 来たな!」
懐かしい声が聞こえて、振り返る。
少し身長が伸びて、頬の丸みがすっきりとしたAがいた。
「あ、」
思わず立ち上がって駆け寄りそうになり、自分を抑える。
駆け寄ってどうする。
今更話しかけられない、あんなに避けておいて。
Aはスーツを着ていて、「お前そのまま来たのかよ」なんてからかわれていた。
女子の相手をしながらも、ちらちらAを見ることをやめられない。
Aは男数人と一緒のテーブルについて、ビールを飲んでいた。
酒、飲めるんだ。
「ジョンハンくん、なんか飲みすぎたかも〜」
「帰った方がいいんじゃない?」
上の空で返した俺に、目の前の女子がわかりやすく機嫌を損ねる。
Aは楽しそうに笑っている。
隣には俺がいるはずだった。
俺が最初にAを見つけたのに。
早いペースで酒を飲み、頭がふわふわしてきた頃、二次会に行こうという流れになって全員が店を出る準備をし始めた。
Aが立ち上がって店を出る。
俺はふらふらと立ち上がって、それを追った。
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んー(プロフ) - 和泉さん» わー!もったいないお言葉ありがとうございます!わたしも好きです!笑 (2021年6月23日 10時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - んーさん…天才ですか…?好きです…(語彙力低下) (2021年6月23日 1時) (レス) id: 8dc69dfd49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:んー | 作成日時:2021年6月22日 16時