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俺はAのことを好きなのかもしれない。
 家に帰ってから、もやもやと考えた。

 超絶バカなんだけど。
 あいつ、男だよ?
 ありえないんだけど。

 それでも、記憶の中で膝を抱えて座るAの姿が、白い太ももが、どうしても頭を離れない。

 気まずくて、数日Aを避けるようにして過ごした。
 話しかけられても聞こえなかったふりをして席を立つ。
 Aは少しだけ社交的になったようだった。
 あいつの席の周りに男子が集まることが増えて、その中で笑っていた。



「あのさ、放課後図書室で宿題しない」

 次の授業の準備をしていたAの机に手をついて、囁く。
 Aは突然話しかけた俺に驚いたように目を瞬いて、頷いた。

「いいよ」
「ん、じゃあ放課後」

 約束した放課後が待ち遠しくて、黒板を睨む。
 貧乏ゆすりしていることに気付いて止める。

 もうわかった。
 俺はAが好き、なんだと思う。

 放課後、Aと並んで図書室に向かった。
 奥の席に腰掛けて、宿題にとりかかるAを横目に盗み見る。

「……あのさ」
「うん?」
「最近悩んでることがあるんだけど」

 Aは手を止めて俺を振り返った。
 きょとんとした顔があどけない。

「男が男を好きになるのって、どう思う」

 時間が止まったのかと思うくらい、緊張して沈黙に耐えきれなかった。
 驚いたようなAの顔に、気持ちが悟られていないか不安になる。
 手にじっとり汗をかいて、この空気を振り払うようにふっと笑った。

「ごめん、気持ち悪いよな。忘れて」

 テーブルに視線を落としてペンを持つ。
 震えるな。震えるな。
 わかってただろ、なにキモイこと言ってんだよ。

「……わかるよ」
「え?」
「わかるよ、自分もそうだから」

 Aの方へ振り向く。
 Aは俺を通してどこかを見ていた。
 ああ、と思う。

 こいつも、俺じゃない男を好きなんだ。

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んー(プロフ) - 和泉さん» わー!もったいないお言葉ありがとうございます!わたしも好きです!笑 (2021年6月23日 10時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - んーさん…天才ですか…?好きです…(語彙力低下) (2021年6月23日 1時) (レス) id: 8dc69dfd49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:んー | 作成日時:2021年6月22日 16時

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