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放課後になり、Aと一緒に図書室に向かう。
 わざわざ学校終わりに図書室を利用するやつも少なくて、中は静かだった。
 時々廊下を騒がしく通る生徒の声や、外で部活動している音が聞こえてくるくらい。

 俺とAは奥の方の席に並んで座って、黙々と宿題を解いた。
 ちらっとAの手元を見ると、一問だけ答えを間違えていて、消しゴムで消してやる。

「ここ違う」
「えっ、ありがとう」
「計算ミス」

 ふとAを見る。
 伏せた目を覆うまつ毛は、少し長い。
 唇が赤くて、ぽってりしていて、なんだか釘付けになる。

「どこで間違えたかな」

 はっとして姿勢を戻す。
 バカか俺。男相手になにぽーっとしてんの?

 その後は変な考えを振り払うように宿題に没頭して、空が赤くなる頃、お互いに宿題を終えて帰ることにした。

「お前家どっち?」
「こっち」
「俺はこっち」

 校門を出たところで反対方向だと知る。

「今日はありがとう」

 Aがペコッと頭を下げてはにかんだ。
 その表情に胸の奥がむずむずして、なんとなく腕を掴む。

「送る」
「え、いいよ!」
「いいから」

 Aが歩き出したのを確認して、パッと腕を離す。
 ほっそい腕。筋トレとかしろよ。

「お前さ、友達いないでしょ」
「え、……うん」
「もっと話しかけたりした方がいいよ」

 なんでこんなアドバイスみたいなことしてやんなきゃいけないんだ。
 でも今日喋ってみて、悪いやつじゃないし、もっと積極的になれば友達の一人や二人できるのに、と思った。

「うーん……そうだね」

 少し悩んだそぶりを見せたあと、Aが頷く。
 それに満足して、頭をぐしゃっと撫でてやると「やめてよ」とAが笑った。

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んー(プロフ) - 和泉さん» わー!もったいないお言葉ありがとうございます!わたしも好きです!笑 (2021年6月23日 10時) (レス) id: d739c5af4f (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - んーさん…天才ですか…?好きです…(語彙力低下) (2021年6月23日 1時) (レス) id: 8dc69dfd49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:んー | 作成日時:2021年6月22日 16時

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