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携帯に電話番号を打ち込んで、ドキドキしていると、手の中で着信音が鳴った。




ビックリして放り投げた携帯は、床の上で鳴ったまま。

恐る恐る覗き込むと、見たことあるような数字が並んでた。



『も、も、もしもし?』




『あ!Aさんの携帯ですよね?鈴木です』




『あ………あの…』




『突然すみません。岩さんから連絡もらって…
この番号から電話あると思うからって
で、たぶん、Aさんは緊張してなかなか掛けてこないだろうから僕から掛けた方が早いって(笑)』



その通りです、岩田さん。
大正解!



『あ…すみません。あの…』




『僕、キャップ忘れてしまってて…その事ですよね?
今日は、今から撮影があるので、明日以降のAさんの都合がいい時に…』




『はい。私、平日は仕事で、18時以降なら大丈夫なんです』




『そうですか…えっと〜』



鈴木さんはスケジュールを確認してから、また連絡すると言って電話を切った。




そして、今週の木曜日なら19時以降時間があると連絡があった。




その時、忘れたキャップは先輩から頂いたもので、広臣くんのところに忘れたのか、タクシーに忘れたのか分からなくて困っていたと話してくれた。




『登坂さんのところで良かった』




『はい。預かっておきますね』




『じゃあ、木曜日に…』





電話を切ってから、トントンと胸の辺りを叩いた。



すっごく緊張した
普通に喋るのって大変。
疲れた…



ゴロンと床に寝そべって、天井を見上げる。



そう言えば、広臣くん以外の男の人と二人きりで会うなんて、もう何年も経験してない。
広臣くんと付き合い出してからは確実にない。



わっ!
余計なこと考えちゃった。



木曜日の約束を思い出して、また緊張してきた。

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作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時

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