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アパートに戻って、玄関のドアを閉めた瞬間に、きつくきつく抱きしめられた。
『ノブくん、苦しいよ』
『ごめん』
『私、ノブくんが好きだよ』
ノブくんの背中に手を回して抱きしめるけど、ついさっき広臣くんに抱きしめられた感覚が拭えない。
だから私はノブくんにしがみつくように抱きしめる。
『A、苦しいって(笑)』
『ねぇ…』
『ん?』
『キスして…』
私からキスのおねだりなんて初めて。
だから、ノブくんは驚いていたけど、ゆっくり優しくキスしてくれた。
玄関先で何度も繰り返されたキス。
私達はキスをしながら靴を脱ぎ、ノブくんに抱えられたまま寝室に入った。
その日のノブくんは、いつもの優しいノブくんじゃなくて、荒々しくて付いていくのがやっとだった。
意識が朦朧としてる私を抱きしめながらノブくんは、小さな声で ごめん って言った。
ノブくんは悪くないのに
ぴったりとくっついて、ノブくんの胸に顔を埋めて大きく息を吸い込む。
私のいるべき場所はここ
この香りを忘れちゃいけない。
この鼓動を忘れちゃいけない。
このぬくもりを手放してはダメ。
『ノブくん』
『ん?』
『朝まで抱っこしててね』
『うん。いいよ』
今日の事は忘れよう。
固く目を閉じて、いつの間にか眠ってた。
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作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時