検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:80,868 hit

043 ページ43

『あ……………』



移動車が信号で止まった時、外を見て固まった。



『ん?あ……』



岩ちゃんも俺の隣から外を見て固まった。



『アイツ…どっかで見たことあるけど』



Aの隣を歩いている背の高い男。
確かに見たことあるのに、目深に被ったキャップに黒縁メガネで顔が分からない。


『岩ちゃん、アイツ知ってる?』



『え?知りませんよー』



岩ちゃんは、慌てて窓から離れて不自然に前を向く。
絶対知ってるわ。


それにしても…



『アイツ、あんな顔して笑うんだな』



楽しそうに笑いながら歩いているAの笑顔を見て、今さらながらそんな事が口からついてでた。


全部
そう、何から何まで俺が悪かった。
どんな言い訳をしても、100人に聞いたら100人が、
お前が悪い。自業自得だろ
そう言うと思う。


なのに、アイツが誰かの隣で楽しそうに笑っている事が受け入れられない。


別れてから何度も、Aのアパートに行った。
何度かベランダから外を見るAと目があった。
気にして連絡してくると思ったのに…
発売されるDVDを送ったこともある。

なのに、Aは連絡してこない。


あんなに俺を好きだったくせに



『臣さん、Aちゃん幸せそうですね』



それがどうした。


Aが笑っていいのは、俺の隣だけなのに。



『絶対、取り戻す』



拳を握りしめ、歩道を歩く二人を睨み付けるように凝視した俺を、岩ちゃんが息を飲んで見つめていた。

044→←042



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
310人がお気に入り
設定タグ:登坂広臣 , 鈴木伸之 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。