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リビングに入るなり、ふわっと抱きしめられた。


『ごめんな。あんまり会えなくて』



『…ううん。忙しいの知ってるもん』



『嫌いになってない?俺のこと』



『……なってないよ?』



どうしてそんな事聞くんだろ?って見上げた広臣くんは、ちょっと笑って私を見下ろしていた。

もしかしたら、岩田さんから何か聞いたのかな?って思ったけど、そんな事はなさそう。
いつも通り、二人でソファーに座ってても、広臣くんが怒ってる様子はない。



『もうすぐAの誕生日じゃん。
何か欲しいものある?何でもいいよ?』



『んー。ないよ?』



『Aはいつもそう言うじゃん。
そりゃ、マンション一棟買ってくれって言われても困るけど…。大抵の物はプレゼント出来んのに』



『ほんとにないもん』



あるけど…
私から催促するものじゃないもん。
好きだよって言って欲しいなんて…。

それと もうひとつ、誕生日に一緒にいて欲しいなんて。




『んー。じゃあ俺が考えるわ』



『なんにも要らないよ?』



『なんでだよ(笑)俺が出来る事はしてやりたいしさ』



『……うん。ありがと』




高価なプレゼントより、今すぐ出来る事があるのに。


その日も、いつも通り広臣くんに抱かれる。

すっかり覚えてしまったくせ
私以外にもしてるのかなって思うと、悲しくて辛くて
「マイちゃん」って呼んでいた、広臣くんの優しい声と横顔が思い出されて
涙を堪える事に必死だった。



『なんかいつもと違ったじゃん』


『そんな事ないよ』


『……まぁいいけど』



大好きな広臣くんに抱きしめられる。



『明日、どうする?』


『ん?』


『ここで待ってる?』


『…ううん。帰る』



わかったって言った広臣くんの顔が見れなくて、そのまま胸に顔を埋めて眠りについた。

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作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時

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