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そんな事、考えたこともなかった。
ただ、ノブくんといると楽しくて
広臣くんがどう思うかとか
ノブくんが何か言われるとか
考えたこともなかった。
『Aちゃんは臣さんに大事にされてるでしょ?
友達の距離を間違えちゃダメだよね』
岩田さんに言われて、私の頭の中に疑問が浮かぶ。
『私、大事にされてるんですか?』
岩田さんは驚いた顔をしてから、メディアで見るような優しい笑顔になった。
『何言ってんの(笑)されてるでしょ?
こんなに長い期間付き合ってても、しょっちゅう電話してるし、Aちゃんに愛想つかされないようにサプライズプレゼントしたりしてるじゃん』
それは……
それは、全部私じゃない。
広臣くんからの電話なんて、1ヶ月ぐらい受けてない。
誕生日とクリスマスにプレゼントを貰うことはあっても、サプライズなんてない。
目の前で何か話している岩田さんの口をただ見つめてた。
『臣さん忙しいからね。だからって、浮気してるように思わせる行動は感心しないな』
『私……』
『ん?』
『私、付き合ってから、一度も広臣くんに好きって言ってもらったことない。電話もしょっちゅうないし、サプライズプレゼントも貰ってない。』
岩田さんは明らかに動揺していた。
そんなのお構い無しに私は話し続けた。
『もう鈴木さんとは会いません。
鈴木さんに迷惑かけるわけにはいかないから。
それと、もう私の事は放っておいてください。
広臣くんが困るような事はしないし、今までの生活に戻ります』
それだけ言って、私は立ち上がり店を飛び出した。
悲しかったし、悔しかった。
走って走って、自分の部屋に帰った時には、足は靴擦れでボロボロだし、顔だって涙でぐちゃぐちゃだった。
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作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時