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鈴木さんとデートもどきをした日から、私達は何度も会った



仕事帰りにご飯を食べたり、休みが会えば出かけたり。


いつも鈴木さんが私を誘い出してくれる。


塞ぎこみたくなりがちな私を、明るい方へ引っ張ってくれている気がしていた。
だから、鈴木さんと一緒に過ごす時間は、とても楽しかったの。
異性というより、性別を越えた友達を得た気分だった。



広臣くんとは相変わらずで、連絡をくれると会いに行っていた。
二人で食事をして、肌を合わせて
それだけで幸せだったはずなのに、何か心の中に穴が開いてしまったよう。
広臣くんのことが大好きなのは変わるはずないのに。



『どうした?なんか変じゃない?』



珍しく広臣くんが私の様子を気にしていた。



『ううん。何もないけど、どうして?』



『いや……なんとなく?』



心配してくれていると思った。
いつもと違う私を心配してくれているんだと。
でも、思ったの。
いつもの私を、広臣くんは知ってるの?
私がどんな仕事をしていて
誰と会って、何に興味があるのか。
知ってるの?
きっと、何も知らない。


それは私も同じ。


広臣くんをテレビで見る以外、
彼がどこで何をしているのか
私は何も知らないんだ。



どうして私達は付き合っているんだろう。
そもそも付き合っていると言っていいのか疑問。
そんな事、怖くて聞けないけど…




だから、鈴木さんからの連絡が待ち遠しかった。
美味しいものを食べたり、これが欲しいんだよって、額を付き合わせてスマホを覗きこんだり。
私が私らしく笑っていられる場所だった。

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作者名:花梨 | 作成日時:2019年1月30日 20時

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