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広臣「君は絶対、俺に連絡するよ」
フッと妖しげに笑う顔が不覚にも綺麗だと思ってしまった。
彼は席を立ち、じゃあね、っと言うとちょうどなぎが戻ってきて、入れ違いで彼女が座った。
「ねぇ、やけに気に入られてない？」
『周りの女の子たちみたいに堕ちないのが珍しんだよ』
「え？知ってる人？」
『え？さっき話したでしょ？』
「え！？登坂広臣！？」
『ちょっと！バカ！声大きい！』
「あ、ごめん」
どうやら彼女は登坂さんだと知らずに私を残したらしい。
「今回のナンパ、やけに真剣だなぁっと思ってたけど、なんだ…。知り合いならトイレじゃなくて帰ればよかった」
『怒るよ』
「なんで！だって、あの人目ガチだったよ」
『…遊ばれたくないもん』
「わかんないじゃん」
『わかるよ！ほら！このやり口はやり手』
握らされた紙ナプキンを摘んでひらひらさせる。
彼女は呆れた顔をして枝豆を口に放り込んだ。
呆れたいのはこっちだよ！
「21なのに…、いつまで処女でいんのよ」
『うるさい！』
「TAKAHIROが迫ってきたらどうすんの？」
『恋人にはなりたくない』
「はぁ、ほんとにあんた硬いわ」
硬いなんて知っるよ。
だって、パパみたいにはなりたくないの。
ママみたいにはなりたくないの。
「泣き上戸も相変わらずね(笑)」
苦い思い出がよみがえって、うっすら目に涙が浮かぶ。
『うーー、トイレ行ってくる』
奥に進むと個室から人が出てきて、泣き顔を見られたくなくて下を向いて通り過ぎようとしたら、ぐいっと腕を引かれた。
びっくりして、思わず顔を上げてしまう。
広臣「どうした？大丈夫？」
そっと手が伸びてきて、親指で私の目に溜まった涙を拭った。
『な、んでもないです』
それだけ言って、去ろうとするけど一向に腕を離してくれない。
『あの、離してください』
広臣「こんなんじゃ放っておけないだろ」
下心のない、真剣な顔。
そこまでチャラい人じゃないのかも。
『…私、泣き上戸なだけなんで』
広臣「…は？そうなの？」
『はい、なので本当に大丈夫です』
広臣「ほんと？」
『ほんとです(笑)もう、涙引っ込んだんで友達のところ戻りますね』
広臣「…なら、いいんだけど」
『ありがとうございました』
やっと、腕を離してくれた。
広臣「飲みすぎんなよ(笑)」
貴方に言われる筋合いない！って言いたいところだけど、本気で心配してくれたから。
『大丈夫です(笑)』
って返した。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
