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A！！
急に外から私の名前を呼ぶ声と、高速連打でチャイムを鳴らし始めた私のだい……嫌いな人。
『近所迷惑』
「お願い、開けて…」
そんな、切なそうな声で言われたら断れない…。
仕方なく玄関のドアを開けると、大嫌いだなんて心の中で言ったけど、やっぱり大好きだと思ってしまった人が悲しそうな顔をして立っている。
『ひろお…』
彼の名前を最後まで呼ぶ前に、私は彼の腕の中に閉じ込められた。
と、同時に玄関のドアが閉まる。
「ごめん」
『……』
「週刊誌のこと、何も聞かず、いつもと変わらない様子のAは俺の仕事のこと理解してくれてるんだって勝手に思い込んでて、でも、言わなきゃダメだったよな。無神経なことたくさん言って傷つけて本当にごめん。」
私を抱きめる腕がぎゅっと強まった。
「今更遅いけど、ちゃんと説明させて欲しい」
『…中入ろう』
きっと長くなるから上がってもらって、机を挟んだラグの上に座り向かい合う。
「番組の打ち上げ、あの場所にはスタッフもたくさんいたんだ。2次会をするために移動してるところ、まるで二人かのように切り抜かれて。しかも、ちょうど彼女がヒールで転びかけたところを支えていて……。彼女とは本当に何も無いし、向こうも彼氏いるし、俺だってなんにも思ってない。」
『…ほんと？』
「ほんと。俺はAだけが好き。Aだけ愛してる。A以外いらない。信じて欲しい…」
彼の瞳がゆらゆらしている。
いや、私の涙のせいかもしれない。
『こっち来て、抱きしめて…』
ほんの2歩程度の距離。
その距離さえ、今の私にはもどかしい。
広臣はすぐこっちに回ってきて頭を抱え込むようにぎゅっと抱きしめてくれた。
「愛されていることが不思議で自信がないなら、俺が呆れるほど好きだって言う」
『…聞いたの？』
なぎだね…。
「うん、ごめん。過去のこともいろいろ聞いた」
『……』
「知らなかったとはいえ、今まですげぇ我慢させてきたよな…」
涙が溢れてうまく喋れない。
だから変わりに首を横に振った。
我慢してないって言ったら嘘になるけど仕方がないって思ってたから、貴方がそんなに思い詰めることはないよ。
そう思いを込めて。
「どんなことでもいいから、我儘言って欲しい」
『…うん』
「お互いちゃんと、言葉にし合おう」
『…っ…うん』
貴方の高そうなニットは私の涙で濡れてしまった。
「俺、Aと暮らしたい」
頭の上で彼が言った。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
