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「恋愛で泣くなんて。びっくりしましたよ(笑)」
初めてAが登坂さんのことを想って泣いたときは、あぁ、この人はAの運命の人だって思ったの。
「弱いくせに、強がっちゃって(笑)」
広臣「……」
「彼女はもう何年もずっと愛されることを忘れたまま大人になってしまったんです。男の人を信頼できないまま。だから、自分に自信がないんです。笑っちゃいますよね、あの容姿して(笑)」
美人で、スタイルも良くて、出るとこ出てて。
それで自信がないだなんて、世の女はきっと怒っちゃうよね。
でも、彼女からしたら、そういう事ではなく、心から中身を愛して欲しいんだよね。
「あの子、バカだから、登坂さんに愛されてること不思議に思ってるみたいなんです」
広臣「えっ」
「なんで自分なんだろうって。彼女しかきっと、その気持ちはわからない。いろんな経験をした彼女にしか、その疑問は持たないと思います」
本当に、困った子だ。
「今回の報道で、Aは怖くて不安だったんだと思います。」
広臣「…俺、何も知らなくて…」
「知らなくて当然です。彼女はきっと言わないだろうから。私にすべての事を話してくれたのだって、高校を卒業した後でしたもん。」
広臣「…でも、傷つけた」
「彼女が恋愛であんなにも素直なところを初めて見たって言いましたよね？だから、話したんです。無断ではありますけど、登坂さんなら彼女に愛されることを思い出させてくれるって。…もう一度に聞きます。」
登坂さんが私を強い目で見つめる。
「Aのこと、任してもいいですか」
広臣「…任してください」
私の方が年下なのに、敬語で言う彼。
やっぱり、Aは彼に大事にされまくりだ。
これに気づかないなんて、本当に馬鹿な子。
「今日は早上がりだって言ってたんでもう家にいると思いますよ」
広臣「っ！」
彼は早々と立ち上がり、戸を開けようとする。
広臣「なぎちゃん、本当にありがとう」
「早く行った方がいいですよ。A、嫌なことあると寝て現実逃避する癖あるんで(笑)」
広臣「え！？ちょ、あ、ここの飯、上手いから食べてって。俺につけとくから好きなだけ頼んで！お礼だから！」
早口で私に伝えると慌ただしく出ていき、個室はシンと静かになった。
仲直りしますように。
そう心の中でお祈りして、注文するため呼び出しボタンを押した。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
