貴方との毎日と君との毎日[Hiroomi] (ページ44)

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なぎの住むアパートに着き、チャイムを鳴らし、ドアを開けた彼女はとてつもなくびっくりしていた。

秋が終わりかけなこの季節。

Tシャツ一枚で出てきた私に彼女は温かいインスタントのコンスープを煎れてくれた。

『ありがとう』

モコモコの膝掛けも貸してくれて、それを肩から羽織るとすごく温かい。

「登坂さんとケンカ？」

『…なんで広臣ってわかるの』

「むしろそれしか思いつかないわ(笑)」

『……』

彼の、＂本気で言ってる？＂って言った顔が頭から離れない。

鋭くて、穴が開きそうで、初めて彼を本気で怖いと思った。

「週刊誌のことで揉めた？」

『……』

鋭すぎる。

「あんたのことだから、大丈夫って言っても全然大丈夫じゃなかったんでしょ？ほら、何があった言ってみ」

さすか高校時代からの親友。

私よく知っているからこその聞き方だ。

温かい部屋に、温かいコンスープ、そしてなによりなぎの優しさに涙が出てきて泣きながら話した。

記事が出たことについて何も話されていないこと。

私は2番目の女なんじゃないかと不安なこと。

シたいだけなんじゃないかということ。

彼が初めて怒ったこと。

うまく話させているかわからないけど、なぎはずっと下手くそな説明を聞いてくれた。

「Aはさ、自分は大切に想われていないって思う？」

なぎはティッシュを私の目の前に置いて、拭きなさいと言う。

「登坂さんのAを見る目は嘘じゃないと思うよ。アー写はあんなに目つり上がっているのに、A見る時は目垂れ下がってんじゃん。」

……そんなの、わかってるよ。

いつも優しいもん。

いつも優しい目をして、優しい声で名前を読んでくれること、ちゃんとわかってる。

「登坂さんの職業は芸能人なんだから、撮られちゃうことも、記事にないこと書かれることも理解が必要だってわかるよね？」

『…うん』

「確かに言わなくてもわかるとか、そんなの所詮他人なんだからわかるわけないし、そこは登坂さんも悪いと思う。でも、すぐ聞かないAも悪いの。」

『…でも！』

「でもじゃない！」

『…はい』

彼女の勢いが強すぎて言い負かされてしまう。

「本当に自分が2番目の女だって思う？」

『……』

「この期に及んで黙秘権とかないからね」

『……自信が無いの』

そう。私には自信が無い。