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立っているのが困難なほど涙が止まらなくて、床に座り込む。
彼は私を抱きしめようとしていて、それを手で拒否した。
「A…」
『別れたいっ…』
辛い恋はしたくない。
辛くなるんだったら一緒にいたくない。
「…なんでそんなこと言うんだよ…」
『なんでって…っ…わかるでしょ』
「なぁ、もしかして週刊誌？」
『……』
「気にしてた？」
は？
気にしてたって、するに決まってるじゃん。
「記事が公開された日、Aに電話したとき普通だったから気にしてないのかと…」
『…仕事だったの』
「……」
『仕事だったから知らなかったの！だいたい、あんなの出て気にしないほうがおかしいでしょ！彼女の私にはなんの説明もなし？そもそも彼女でもない！？』
もう、いい。
彼から別れの言葉なんて聞きたくないなんて思っていたけど、このまま付き合っていくほうが辛い。
『私、遊びは嫌いなの。もうすぐ付き合って1年なのに…。貴方に想われてたって自惚れていたのかな？』
「A、違う…あれは」
『今の広臣から何言われてもきっと信じられない。』
「…彼女とは何も無いから。お願い信じて」
『私をなんだと思ってるの？言わなくてもわかってくれてるって思ってる？』
「……」
『そんなわけないじゃない。私はずっと不安だったのに、今日は意地悪だとか、なんなの？そんなにシたいならあのモデルさんとすれば？』
「…本気で言ってる？」
『本気だよ』
「…ふざけんな」
彼が静かに怒りを表す。
『なんで貴方が怒るの？意味わかんない！』
紙袋をとっさに持ち、携帯を握りしめて部屋を出た。
タクシーを捕まえて、車で15分くらいのなぎの家に向かう。
向かってる途中、手の中にある携帯は光っていて、それは全部広臣からの着信だ。
それすら見たくなくて私は電源を落とした。
タクシーの窓から流れる光はじんわりと滲んでいる。
広臣なんか大っ嫌い…。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
