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「待たない」
恥ずかしいとか、そういう類いの待っただろ？
待ったって言っときながら望んでるくせに(笑)
彼女の上に跨って、キスをしようと顔を近づける。
『広臣くん、待っ…んん』
彼女の待ったを遮るように唇を押し付ける。
『ひろ…んっ…』
俺の肩まで押し返してきた。
『お願い待っ……ん…』
ここまで抵抗されると逆におかしい。
これは俺が思っていた待ったとは違うと気づいて唇を離した。
「…どうした？」
『あの…』
すごく、言いにくそうに目をそらした。
「ん？」
『…ぇっと』
これはもしや…
「…女の子、だった？」
だからかぁ…。
すげぇ抵抗するわりには言いにくそうにしてたし。
まぁ、仕方ねぇな。
『いや、そうじゃないんだけど…』
「え？」
『……め……なの』
「ん？」
ゴニョゴニョとに小さな声で言うからぜんぜん聞き取れない。
『だから！』
彼女は両手で顔を覆った。
『初めてなの…』
「……え？」
初めて？
なにが？
この状況で初めて？
それはつまり……
「シたこと、ないの？」
彼女は声を出さず、手で覆った顔を上下にブンブン振った。
「…まじで？」
え、Aが処女なの？
この容姿で？
このスタイルで？
『引いた…よね』
手が顔から外されて見えた目は涙でいっぱいだった。
瞬きしたら零れてしまいそう。
「引いてないよ」
正直かなりびっくりしたけど。
まぁ、Aの性格を考えればそうだよな。
遊びで、とか興味で、とかそういうの絶対しなそうだしな。
「A」
彼女の上から降りて、腕を引っ張って起き上がらせた。
「俺はお前が好きだよ」
彼女の唇に触れるだけのキスを落とす。
「怖い？嫌？…ならしないよ」
『面倒くさくない？』
「なんでめんどくさいの(笑)そんなわけないだろ。Aがいいって言うまで待つ」
彼女が瞬きをして、涙を流し、それがスイッチかのようにポロポロ泣き始めてしまった。
あんなに待ったをかけていたのに、続けようとしたから怖かったのかな。
ごめんな。
『ほんとに？だって、処女ってめんどくさいって…』
確かに、昔の俺なら処女なんて絶対嫌だったけど。
つまり、俺がAの初めての男ってことだろ？
なんなのそれめちゃくちゃ嬉しいじゃん。
「俺はAが初めてで嬉しいよ」
『……』
「言われたことあるの？」
彼女は気まずそうに頷いた。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
