貴方との毎日と君との毎日[Hiroomi] (ページ27)

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『例えばお誕生日ケーキ。その人にとって、その歳のお誕生日は一度しかないでしょう？だから私はケーキで全力でお祝いするんです。主役の人の笑顔に少しでも携われることが、私にとってすごく楽しくて、嬉しいことなんです。』

「……Aちゃんっていい子だね」

『えぇ？(笑)』

「Aちゃんの夢って何？」

『夢、ですか？』

「あるでしょう？店を出したいとか、いろいろ…」

『うーん…』

彼女は箸を止めて、真剣に考え出した。

『お店を出すのもかっこいいですけど、別にそこまで…』

「夢だから大きくてもいいんじゃない？」

いつか…、と彼女が口を開き、話し始める。

『いつか、自分に子供ができて、子供が結婚する時、ウェディングケーキを作りたい。それで、お母さんに頼んでよかったって言ってもらえるパティシエでいたいです』

まさかの夢だった。

店を出すとか。大きな店で働くとか、海外でやるとか。

そういう類いのものかと思った。

「……いい夢、だな」

『ふふっ、普通な夢かもしれないけど、私にとっては大きな夢なんです(笑)』

恥ずかしそうに笑う君だけど、ぜんぜん綺麗な夢だ。

『あっ！あと、子供のお誕生日ケーキは毎年私が作る！』

「子供、好きなの？」

『大好きです』

「俺もすげぇ好き」

『可愛いですよね！』

お前の方が可愛いよって言いてぇ。

目を細め、歯を出し、キラッキラの笑顔をしている。

『でも、まずは自分の商品をお店に出せるようにしないと！』

「…そっか」

『今1番の目標です！』

「頑張れよ」

『ふふっ、ありがとうございます(笑)…もう！私の話ばっか。登坂さんの話しましょう？登坂さんの夢は？』

「俺の夢？」

『はい！あるでしょう？』

「……ドームツアー、かな」

『ずごい！！登坂さん達なら大丈夫です！応援してますね』

「ありがとう」

キツそうに見えた目は三日月に。

つぐんでいた口は大きな弧を描いて。

そんな彼女の新しい1面を見た。