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「そうなの？」
『はい、なので本当に大丈夫です』
「ほんと？」
普段は強気な癖して、そんな可愛い上戸あんの？
『ほんとです(笑)もう、涙引っ込んだんで友達のところ戻りますね』
嘘じゃなさそう。
「…なら、いいんだけど」
『ありがとうございました』
本当に、さっきと変わらぬ様子に戻り自分の席へ行こうとする彼女。
なんなの。
すげぇ面白いじゃん。
「飲み過ぎんなよ(笑)」
彼女はふふっと笑って
『大丈夫です』
と言った。
初めて見た、彼女の作った笑顔ではなく、ちゃんと本心で笑っている顔。
すげぇ可愛いじゃん。
どっちが本当なの？
気の強い君？
それとも、可愛らしい笑顔をする君？
気づいたらもう君の虜。
あの笑顔をもう一度見たい。
彼女から早く連絡が来ないかなと、待ち遠しくて仕方がなかった。
家に帰り、ゴロゴロとそろそろ寝ようかと思っていたところに、着信を知らせる通知が鳴る。
登録されていない、知らない番号。
間違いなく彼女だ。
「…はい」
『あ、もしもし。…えっと、』
彼女の声を聞いた回数は数える程しかないけど、しっかりと覚えている少し低いハスキーな声。
『こちらのお電話、登坂さんのものでお間違いないですか？』
「うん(笑)あってるよ。Aちゃん」
堅苦しい言い方。
確かに、君とは友達とも言えない関係だ。
どうしたら仲良くなれる？
どうしたら笑顔見せてくれる？
『あの…指輪…』
「指輪？」
指輪のことで電話が来たことはわかっているけど、あえて知らない振りをする。
『……はい。先日私が貴方に拾った指輪、今日も落とされたみたいなので。私が今預かっていて、お返ししたいのでご連絡させていただきました』
君も、俺がわざと置いていったことわかっててきっと電話しただろ？
君が、俺がああすれば君はあの紙ナプキンに書いた番号にかけると思った。
でも、実際は無視することもできたはずだ。
それなのに、君は電話をしてきた。
あの指輪はHIROさんが三代目としてデビューするときにメンバー全員にくれたものだ。
デビューからお守りのようにしてきたものだ。
指輪を無くし、彼女とも連絡をとる術も手に入らないか。
指輪が戻ってきて、彼女の連絡先も手に入るか。
正直賭けだった。
『ご都合がいい日、わかりますか？』
俺は、まだ君にたった2回しか会ったことがないけれど。
俺は君に振り向いてほしい。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
