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「21ってことは大学生？」
『2年制の専門だったんで今は社会人です。』
「なんの？」
『製菓学校です』
「え、じゃあパティシエ！？」
『そんな驚きますか？』
「だって、見えねぇ」
『よく言われます。何も作れなさそうって』
「いや、そんなこと言ってない！」
彼がまた弁解をしている時に、お通しとお酒が運ばれてきた。
「飲もっか」
『いただきます』
「いただきます」
彼がグラスの乾杯を求めてきたから、遠慮がちに音を鳴らした。
それからは、美味しすぎるご飯と大好きなお酒を堪能して、会話もして。
普通に楽しい時間だった。
メンバーのことや仕事の話をしてくれた彼。
岩ちゃんがこういう人だとか、隆二くんがこういう人だとか、申し訳ないけど知ってるよ(笑)
週刊毎週見てるんだってば。
でも、初めの印象とはだいぶ違った。
芸能人だからっていきがって調子乗ってる奴だと思ってたけど、意外と普通の人だ。
女ったらし以外はいい人なのかもしれない。
「家どこら辺？」
そろそろ帰ろうか、と準備を初めると聞いてきた彼。
軽く場所を言うと、どうやら彼の家と近いらしい。
「送る」
『1人で大丈夫ですよ』
だいたい、貴方が女と撮られる方が大変なんじゃない？
「こんな結構いい時間に女1人で返せるわけねぇだろ。酒入ってるし」
『……』
こりゃあモテるわ。
まぁ、今じゃ手口としか思えないけど。
「ほら、行くぞ」
『ちょっ…！』
一緒に出ていいの？
芸能人ってこんななの！？
こんな普通に街歩くの？
いや、初めてあった時も普通に歩いてたけど…。
「…お前、もしかして心配してんの？」
『…だって』
一向に立ち上がらない私を不審に思ったみたい。
「大丈夫だから。ほら」
私の前に立って、手を差し出した。
思わずその手を取ってしまい、ひょいと立ち上がされた。
だけど、手を離してくれない。
なぜ…。
手を見て、彼を見て、手を見て、彼を見て。
そんな様子を彼は面白そうに笑った。
そして、そのまま私の手を引き個室を出た。
会計のところで立ち止まろうとすると、彼は止まるどころかそのままお店を出ようとする。
『あの！お金っ！』
「もう払った」
『いつ！？』
「お前がトイレ行ってる間」
『えぇ！？』
「声でかい。バレる。」
そんなこと言われたら黙るしかない。
引かれていた手が動いて、私の指に絡められる。
どうしよう。
私今、すごくドキドキしてる。
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
