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帰り間際。
「すみません、こちらの指輪はお客様のものでしょうか？」
『え？指輪？』
「お客様の椅子の下に落ちていたんですけど」
通りがかりのスタッフに声をかけられる。
私、指輪なんかつけないけど。
と、思いながらその指輪を見た。
『あ…』
シルバーのごっついメンズの指輪。
私はその指輪に見覚えがあった。
『あの、3人組の男で、個室に入った人のですよ』
「え、あぁ！そちらのお客様達は先ほど帰られたんですよね…。」
��君は絶対、俺に連絡するよ��
『……。』
やられた。
こういうことか。
たしかに、こんな高価なもの。
しかも、自分で大切なものだと言っていたし、あれは嘘じゃないだろう。
本気でポケットに手突っ込んで探していたから。
『私、その人と知人なんで届けます。』
「ほんとですか？ありがとうございます。お願いしてもよろしいですか？」
『大丈夫です』
なんてずるい男。
さっき、本気で心配してくれたとき意外といい人なのかなって思ったのに。
撤回だわ。
「さすがだね、あの人(笑)」
なぎが他人事のように笑った。
まぁ、他人事なんだけど。
『なんなの…』
強引にも程がある。
「Aってさ、いつも変な人に好かれるよね」
ほんとに、思い出すと確かにみんな変な人だ。
挙動不審なオタク。
定時に通うヤンキー。
めちゃくちゃ重い人。
どこの誰か知らない外人。
お金に狂った野球選手。
「まぁ、だから奥手なんだろうけど。」
『いい人紹介してよー』
「だって。Aに見合う人でいい人なんていないし」
『なんでなぎは彼氏いるの！』
「私ガード硬くないもん」
『私もガード緩くする！』
「だったらとっくに彼氏できてるっつの」
…ですよね。
紹介されたところで、私が好きじゃなかったら連絡とるの面倒くさくてしないし。
「あの人は？」
『登坂さん？』
「そう。ぶっちゃけタイプでしょう？EXILE系じゃん」
『私のタイプはTAKAHIROさん』
「だから、身長高くてイケボで歌上手い人でしょ」
『うっ…』
その通りだ。
『でも強引は嫌い』
「TAKAHIROも強引かもよ？」
『TAKAHIROさんはいいの強引でも。特別枠！』
「ハッ(笑)だめだこりゃ」
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作者名：omigirl | 作成日時：2017年9月5日 0時
