夢をありがとうⅡ (ページ26)

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葉月side ページ26

優しいずっと待ってたような
安心する声がして

ずっしり重い体は再び眠りに落ちた

はずなのに

今度はずんと低くて優しい
重みのある声が私の名前を呼んでる

はっきり聞こえる声

そう言えばわたし、

どうしてたんだっけ

隣は暖かくて

お客さんといるのに寝ちゃったの、、？

あ、そうだ、、

おみぃちゃん達にあって

せっかく助けてくれようとしたのに
私は逃げて

苦しくなって

苦しくて苦しくて動けなくなって

それから？？

じゃあここはおみぃちゃんのお家で

ここ最近のこと
昨日のこと
私がしてしまったこと

私が生きてきたこと

話したこと

一気に頭の中でぐるぐる回って

そうだ、私、、ごめんなさい

《ご飯食べよう》

揺すられて

うっすら目を開ければ

見覚えのあるような、ないような
おじさんがいて

起きれば見たこともないくらい
綺麗なお姉さんがいて

おでこに当てられた
手は冷たくて少し濡れてて

頭のなかのぐるぐるを吸いとってくれた

温かくていい臭いの湯気が立ち

ほかほかの白いご飯はいい香りで
生まれて初めてのような食べる味で

ご飯だけでもいいかも、なんて思いながら

生まれて初めての

きっと普通であろうことを経験した

なのに、私は不安でしかないの

これでいいのかな？
こんなことしてていいのかな？
本当にいいの？

って。

またちょっと悲しくなってるうちに
綺麗なお姉さん、彩さんが
私をキラキラにしてくれた。

お買い物に連れていってくれて
いろんなお店でいろんなものを見た

これ可愛くない？
これ似合うんじゃない？

こういうの好き？

たくさん聞いてくれたの。
私には眩しくて苦しいくらい
優しい顔で

でも、ごめんなさい

私、今までも普通に会話してたはずなのに
なんて答えればいいかわからないの
声に出さなきゃって思っても

、、あ、うんっ。

って答えることしか出来なかった。

それが一番今日悲しかった。

今までご飯だってお洋服だって
寝ることだって、ベッドだって
全部当たり前にやってきたはずなのに

全部がはじめてに感じたのはなんでだろ

全部どうしたらいいかわからなくなるんだろ

理由は考えないようにした。

だって、初めてって思ってる方が
楽なんだもん。

。