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四十七 ページ48

Aside


『はぁ…………』


人気の少ない早朝


重苦しいため息を吐きながら私は荷物をまとめて宿を出るところだった


手紙だけなんて薄情だったかな、やっぱり


昨夜からずっとそのことを考えて今更ながら罪悪感に苛まれているのだ


こうして嘉明に見つからないように早朝から翹英荘に帰ろうとしているところでもう時すでに遅しなんだけど


『………今は、嘉明の顔見る勇気ない』


地面を見つめて小さくため息をつく


何回目のため息だろう


嘉明「どうしてだ?」


『…………え?!な、なんで嘉明、が!!』


今一番顔を合わせたくない人物の声が聞こえたのが信じられなくて


人通りの少ない朝の街に私の驚嘆する声が響いた


嘉明「それはオレの台詞だぞ。様子がおかしいと思ったら…
やっぱりオレに黙って帰ろうとしてたな?」


全部見透かされる…?


どうしよう、嘉明怒ってる?悲しんでる?


どちらにせよそんな顔をさせてたいるのが私のせいなんだとしたら


怖くて嘉明の顔なんか見れるわけもなくて


私の目線はそれからずっと地面と睨めっこだった


嘉明「Aがわざわざ手紙なんて回りくどい方法使う時は、大体何かがあった時じゃないか?

昔……ちょっと喧嘩した時もそうだったよな」


嘉明の言葉で些細な記憶を思い起こす


幼い頃、嘉明と喧嘩してしまった時のこと


理由なんて大したことなかったけどその後嘉明と数日顔を合わせるのが気まずくて


私は家の外に来る嘉明に向かって紙飛行機に折った手紙を飛ばして謝ったんだっけ


『よくそんなこと覚えてたね……』


そう、そんな何気ない出来事まで嘉明が覚えていたなんて思いもしなかった


私自身忘れかけていたことなのに


嘉明「全部覚えてるぜ、Aとのことはな」


私との、こと……?


『……っ!』


嘉明の言葉に胸がズクンと疼く


ああ……、私やっぱり………嘉明のこと


でもダメだよね?


私は嘉明の足しか引っ張らない


好きなこと、思う存分やりたいと思っている嘉明の邪魔にしかならない


昨夜、たくさんの人に囲まれる嘉明を見て


誇らしい気持ち、嬉しい気持ち


それを上回る……【嫉妬】


自慢の幼馴染が注目されて嬉しいのに


私だけに見せていた笑顔が、私だけのものではないのだと


目の前で分からせられた


そんな嫉妬深い女…嘉明の隣には相応しくない


だから、短く楽しかった再会の時間はここで


…私からお別れをしないと

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おりんぽす(プロフ) - るみさん» 率直なご感想ありがとうございます!とても嬉しいです☺️更新のモチベにつながります˚✧₊⁎ (2月26日 20時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
るみ(プロフ) - 好きです(コメント失礼します)大事なことなのでもう一度言います(?)好きです!!! (2月26日 1時) (レス) @page38 id: 270f4769cf (このIDを非表示/違反報告)
おりんぽす(プロフ) - 星空ブリキさん» 以前も万葉くんの小説にコメントくださいましたよね…?!変わらず応援してくださって本当に嬉しいし励みになりますありがとうございます😭!嘉明くん推しなんですね!彼の魅力を引き出せるよう頑張ります! (2月15日 10時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - おりんぽすさんの作品をいつも楽しく拝見してます! まさか推しの小説を書いている……………!!? めっちゃ嬉しいです! (2月14日 16時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりんぽす | 作成日時:2024年2月12日 21時

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