十九 ページ20
Aside
母「ほらお薬しっかり飲んで、今日は布団から出ちゃダメよ……」
痛む喉に粉薬は障りがあるからと白先生が特別に煎じてくれた薬湯を一気に流し込む
ひとくち飲み込むと薬草独特の匂いと思わず顔を顰めてしまうほどの苦味が口にぶわりと広がる
高熱で朦朧とした意識がその苦味によって一気に冷めたようなそんな気がした
父「Aの様子はどうだ…？」
母「今薬を飲んで寝るところよ、今日は一日安静にって…
もう、昨日の夜こっそり抜け出したらなんかするから……」
心配で覗きに来た父を部屋から出すように母も一緒にいなくなる
私は部屋にひとりぼっち
別に寂しくはない、慣れっこだから
昨夜のことを思い出す
嘉明が私に見せてくれた獣舞劇というもの
とてもとても綺麗で
力強かった
夢中になって見ていたからか、体が冷えてしまったらしい
弱っちい私の体はそんな冷えに耐えきれず
もう限界だと言わんばかりに次の日に高熱を出した
この時の熱は本当に辛かった
数日間下がらない高熱
乾いた咳が止まらなくて肺が痛むし
上手く呼吸も出来なかった
食欲も全く出なくて口にするのはあのとてつもなく苦い薬湯だけ
その味は今でも思い出せるほど強烈だった
ようやく高熱が落ち着いて微熱まで下がってきた頃
私は布団から体を起こして窓の外を見ていた
すると窓枠からひょこりと顔を出したのは嘉明
なんだかいつもよりしょんぼりした様子
どうしたのかと尋ねると窓越しに小さな声でごめんと私に謝罪した
あの夜、私を連れ出したせいで酷く体を壊してしまったと嘉明の両親に叱られたらしい
それから私の様子を見にいくことも出来ずに数日
私の母から熱は下がってきたと聞いてやっと会いに来れたのだと
あんなに落ち込んでいる嘉明を見たのはあれが最初で最後だったかもしれない
嘉明は私に何度も謝っていたけど
そんなの、私は全く気にしていないし気にするはずもない
嘉明はいつでも私を
私の心を元気づけてくれたから
どんな暗いところに、狭いところに、寂しいところに
ひとりぼっちでいたとしても
私がどんなに弱っちい体でも
まるで陽の光が白くて小さな茶花でさえも照らすように
嘉明だけは、私を一人にしない
私にとって嘉明は
何処にいても見つけてくれる、太陽のような存在だから
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おりんぽす(プロフ) - るみさん» 率直なご感想ありがとうございます！とても嬉しいです☺️更新のモチベにつながります˚✧₊⁎ (2月26日 20時) (
レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
るみ(プロフ) - 好きです(コメント失礼します)大事なことなのでもう一度言います(？)好きです！！！ (2月26日 1時) (レス) @page38 id: 270f4769cf (このIDを非表示/違反報告)
おりんぽす(プロフ) - 星空ブリキさん» 以前も万葉くんの小説にコメントくださいましたよね…？！変わらず応援してくださって本当に嬉しいし励みになりますありがとうございます😭！嘉明くん推しなんですね！彼の魅力を引き出せるよう頑張ります！ (2月15日 10時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - おりんぽすさんの作品をいつも楽しく拝見してます! まさか推しの小説を書いている……………!!? めっちゃ嬉しいです! (2月14日 16時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりんぽす | 作成日時：2024年2月12日 21時
