好きってこと ページ38
ティオ「それで、Aさん
貴女との婚約を、破棄、させて欲しいんです」
その言葉の意味を理解するのに
多分数十秒はかかった
それまでの間わたしとティオの間には沈黙
ティオはわたしの言葉を待っているようだ
わたしの頭の中は半混乱状態
待って…、少し落ち着くのよわたし
ティオは、わたしの婚約者で
ずっと前からわたしのことを好きでいてくれて
今はデートの真っ最中
それで、それで
婚約を破棄したい、と
『な、、、どういうこと…？！』
いきなりわたしが大きな声を出して立ち上がったものだからティオがビクッと型を震わせる
そんなことお構いなしにわたしはティオの両肩を掴んで前後に揺さぶった
『だって！わたしもう決めたのに！
貴方と婚約するって決心したの！
何回も何回も悩んで出した答えなのよ！
…なのに、あ、あんまりだわ』
何かがプツリと切れる音がした
わたしはへなへなと地面に腰を下ろす
するとティオはわたしに揺さぶられて乱れた服を直しつつクスリと笑った
ティオ「そんなに僕のこと考えててくれたんですか？
どういう形であれ嬉しいですね」
天使のような笑顔で、笑うものだから
わたしは更に脱力する
『そういうことを話してるんじゃないわ…ティオ！』
ティオ「ご、ごめんなさい！
でも、元々僕の勝手な感情でたてて貰った婚約でしたし…
今日一日でね、貴女の笑顔がたくさん見られたのは本当に嬉しかったし
満足、かな…って
だから、婚約は破棄して……勝手でごめんなさい」
頭を下げるティオ
彼は今どんなことを考えているのか
そんなのわたしにはわからない
でも、好きな相手への気持ちを飽きらめる
その気持ちは痛いほど分かった
『ティオ……顔上げて』
小さな声でそう言うとティオと視線がぶつかった
何でも正直に話してくれるティオだから
わたしもちゃんと向き合おうって思ったのかもしれない
『わたしね、お姫様の役目を果たさないといけないってそれだけを思っていたの
でも…でもね、わたしには好きな人がいるの
その人のことは多分これからもずっと好きよ
それは変えられないわ
だから…わたしも、貴方とは婚約出来ないわ
とても正直な貴方に、嘘つきなわたしは似合わないもの』
そう言って笑う
ティオの綺麗な瞳が少し潤んだ、瞬間
ティオ「……っあぁ〜！！まったく！！もう、好きだ…っ！」
わたしは勢いよく振りかぶったティオに抱き竦められたのだった
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おりんぽす(プロフ) - 鈴錬さん» ありがとうございます。ひっそりと書き始めたものだったので応援のお言葉を頂けるとは思わず、とても励みになりました。ゆっくりペースですが更新頑張っていきたいと思います。 (2020年9月22日 18時) (
レス) id: 8fe1ab7092 (このIDを非表示/違反報告)
鈴錬 - 今日一気読みしちゃいました！めっちゃ楽しく読んでます！続きも楽しみなのでこれからも応援してます！ (2020年9月21日 22時) (レス) id: 4853e54ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりんぽす | 作成日時：2020年5月30日 0時
