ーとある日の記憶1ー ページ16
「また貴女は嘘をついて………そんなにみんなを困らせたいの?」
お母様がため息をつく
『う、うそじゃないもん!ほんとなの!』
「もういいわ、お母様は忙しいの、ここで大人しくしててね」
『あっ!まっておかあさま…!』
バタン
冷たく響く扉の音
この世界にひとりぼっちにされたようなそんな気分になる
『わたし…いなくなっても、きっとおかあさまもおとうさまも気にしない』
ここから出て行ってしまおう
幼心からの反発心だったのかもしれない
わたしはこっそり窓から飛び降りて初めて1人で夕焼けの草原を走った
厨房から持ってきたパンをひとつ握りしめて
『はぁ、はぁ、、、、』
どれだけ走ったことか
裸足でずっと走っていたから足の裏がジンジンと痛む
お腹も減った…どこかで休もう
そう思って近くの木陰に腰を下ろそうとした
『き、、きゃああ!』
その木陰に近寄ると、それは木ではなく大きな動物の骨だったのだ
1人で城を抜け出し始めて見る動物の屍にわたしは怖くなって泣きじゃくった
『…っうううぁぁぁ〜っ!!!!かえりたい…!かえりたいよぉ…っ!!おとう、さま!お、かあさま!…れおなぁ……!!!!…うううぇ…っ』
無我夢中で走り続けたわたしは帰り道がわからなかったのだ
『…ううっ、ひっ、、、ぅぐ』
痛む足を無理やり動かして涙を乱暴に拭いながら少しずつ歩く
するとそんなわたしの足音以外に、何やら違う音が聞こえるのだ
その足音はパタパタとこちらへ近づいてくる
『……っ!………っあ!!』
わたしは急いでそこから逃げようとして転んでしまった
『…ぅ、ぅううううううあああぁあ〜〜〜っ!!!!』
「わぁ…!な、なかないで…!」
一体なにが起こったのか、誰かが転んだわたしの頭を撫でている
それだけでわたしはピタッと泣くのをやめた
「あ、、、なきやんだ」
目の前にはわたしの顔を覗き込む男の子
わたしとレオナとは違う耳と尻尾を生やした男の子がきょとんとこちらを見つめていた
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おりんぽす(プロフ) - 鈴錬さん» ありがとうございます。ひっそりと書き始めたものだったので応援のお言葉を頂けるとは思わず、とても励みになりました。ゆっくりペースですが更新頑張っていきたいと思います。 (2020年9月22日 18時) (レス) id: 8fe1ab7092 (このIDを非表示/違反報告)
鈴錬 - 今日一気読みしちゃいました!めっちゃ楽しく読んでます!続きも楽しみなのでこれからも応援してます! (2020年9月21日 22時) (レス) id: 4853e54ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりんぽす | 作成日時:2020年5月30日 0時