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少しだけ揺れた瞳は力強くて
誰にも気付かれない様に彼はその手を戻した
あたしら演技うまいやんな？
笑っちゃうくらい嘘つき。
「おやすみ。」
今日はもう言えないからね。
次会うのは現場かな？
「おん、おやすみA。」
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真っ暗な部屋にいつもひとり。
嘘つきで優しい彼は帰って来ない。
あなたの荷物は置いたまま
最後の日はいつだった？
大事なものは持って出たの？
あたしがここから消えたって君はきっと気付かない。
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「もう終わりにしてくれませんか。」
「何を言うの、」
「大事な子がおるんです。」
「は？そんなこと言っていいとでも？」
「いや、、なんもないです。」
「余計なこと考えないで。」
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「おはよーございます。」
久々に見た彼は疲れた顔
目線も下がってなんだか不幸そう
「お疲れ様です。」
「Aっ！あんな？」
「ん？あ、呼ばれてたよ。メイクかな？」
「えっ、あーうん。行ってくる。」
「はーい。」
触んないで、なんて冷たいこと言わないけど
馴れ馴れしくはしないでよね。
フリだけで良いんでしょ？今まで通り。
都合の良い女にならなってあげるから。
「なぁ、A。」
ふたりきりの楽屋
わざわざ隣まで来て肩には彼の手
「ん？」
なんで今？だれもおらんのに。
そんなこと顔には出さない様に微笑んで見せた
「、、、あんな？」
「うん？」
「、、あの、、な、」
「ん？」
言い淀むのは何か後ろめたい？
じゃあ言わなきゃいいのに、なんて
狡い女の子よね。
「なにぃ。疲れちゃったん？席外そっか？」
そう言って距離作ろうと立ち上がれば
強い力で戻された彼の隣
意外よね、優しい彼が雑に扱うなんて。
あぁあたしに優しくする必要もなくなったのか。
ふふ、って笑みが溢れた。
「なんで笑うん？」
「んーん。なんも？どしたん？」
「ここおってや。」
「なんで？」
「なんでって、、、」
「休んだほーがいいんやない？疲れてるよ顔が。」
「、、おん。やから、」
「やっぱ席外すな？ゆっくりしとき？」
今度はギュッと抱きしめられた。
見たことないTシャツは他の女の匂いがしてて
なぁ、髪切ったんよ？気づいた？
あたしがその背中に手を回さないことが
返事やって気付いてるくせに。
「Aっ、、」
「うん」
「A、、、」
「うん」
あたしの名前ばかり呼ぶ君は
何も言わなかった。
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作者名：紅華 | 作成日時：2024年4月9日 22時
