久恋4

188 you&omi ページ39

忘れ物したってからって部屋に戻った広臣に、先に入っててと言われたので温泉に浸かって待っていた。

離れ専用の露天風呂。桜色の濁り湯で、なんか可愛らしい。

仄かな照明なので、裸でも恥ずかしくない気がしてしまう。

そばで咲いていた桜が見た事のない変わった品種だったので、思わず触れようと立ち上がって手を伸ばした。


「いい眺め。」


いつの間にか戻ってきた広臣が、こちらを見てにやにやしている。

慌てて背を向けて、肩まで湯に浸かった。

背を向けていても、笑われていることがわかる。


「暗かったから、あんまり見えてないよ。」


そう言いながら、広臣が私の方へと近づいてきた。



omi side


急いで部屋に戻ってフロントに連絡を入れる。

中居さんに運んできてもらった冷酒が入った綺麗なグラス。

それを持っていく。

そっと中の様子を穿っていると、立ち上がって桜へと手を伸ばしているA。

何してるんだか。

薄暗くても、しっかりと見えてるから。

俺にとって嬉しい限りだけど、見てるだけじゃ我慢できない。


「いい眺め。」


声をかけると、慌てて背を向けて肩まで湯に浸かったA。

いちいち行動が、可愛い。耳、真っ赤だし。

でも機嫌損ねたらまずいし、見えてない振りしておく。


「暗かったから、あんまり見えてないよ。」


そう言いながら、Aの方へと近づいた。

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