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『ドーナッツお待たせしました。』
ふと見た沙耶ちゃんの左手薬指から、指輪が消えている。
私の視線に気づいた沙耶ちゃんが、登坂さんに気づかれない速さでウィンクしてきた。
さっきの「登坂さんの方が大事」って、そういうこと。
沙耶ちゃんと話しながら、1つの皿にはそのままドーナッツを1個だけ乗せて、
残り2枚の皿にはドーナッツを半分ずつにして取り分けている登坂さん。
半分ずつは、沙耶ちゃんと自分の分かな。
私が1個だけ乗ったさらに手を伸ばそうとしたら、遮るように登坂さんの手が皿を取った。
臣「俺とAさんは、半分ずつ。滝沢さんは、これをどうぞ。」
「ずるーい。沙耶も2種類味わいたいです。」
じっと私の手元にある皿を見つめてくる沙耶ちゃん。
『いいよ、交換しよう。』
「ありがとうございます。A先輩って、いつでも誰にでも優しいですよね。」
『そうかなぁ。』
「だから、友達に恋人を奪われちゃったりするんですよ。かわいそうな人だと思いませんか、登坂さん。」
臣「かわいそうだなんて、思わないですよ。むしろ、Aさんを本気にさせられなかった方が悪いんですよ。本気で好きになってもらえたら、他の女に目を奪われている暇なんてないですよ。Aさんの気持ちを繋ぎとめておきたいですからね。すっげぇ、いい女ですもん。」
「えー。いい女要素が、全くわかんないですぅ(笑)」
バカにしたようにクスクス笑ってくる沙耶ちゃん。
臣「滝沢さんには、わからなくて当然だと思いますよ。俺だけが、わかっていればいい事なので。」
「なんなんですか、それぇ〜。」
ぶつくさ言っている沙耶ちゃんを無視して、私の取り皿にあったドーナッツを手に取ると半分にして、自分の皿にあった半分のドーナッツと交換している登坂さん。
臣「この二つ、きっとAさんの好きな味だと思いますよ。」
自信満々にニコッと笑いかけてくる。
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薫(プロフ) - ペコさんコメントありがとうございます。作者の全作品を表示してもらえれば、裏恋があると思います。18歳以上の指定になっているのでお気をつけ下さい。 (2017年3月14日 15時) (レス) id: 8420ac05d7 (このIDを非表示/違反報告)
ペコ(プロフ) - 二人の関係を読んで、こちらも読みに来ました。最初からドキドキです!裏恋はどーしたら読めますか? (2017年3月14日 13時) (レス) id: 35090dc084 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - こいどんさん» こいどんさん、コメントありがとうございます。 (2016年10月23日 14時) (レス) id: 8420ac05d7 (このIDを非表示/違反報告)
こいどん - 面白い! (2016年10月23日 14時) (レス) id: edfae532a4 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - いちにーにーごさん» こちらこそ、コメント嬉しかったので。更新頑張っていきますね! (2016年10月23日 1時) (レス) id: 5d982d1368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薫 | 作成日時:2016年10月7日 2時