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職場のフロアには、一人もスタッフが居ない。
当たり前か、残業しているの私だけだし。
夜7時。そろそろ、終わろうかなぁ。お腹減ったし。
「A先輩、お疲れ様です。」
『お疲れ様、沙耶ちゃん。』
声がした入口の方を見ると、同じ部署の滝沢沙耶(25)が立っていた。
彼女は、甘い香を身に纏い、ゆるい巻髪に白いシャツに赤いスカートがよく似合う。
自分の席へ向かう沙耶ちゃん。
『忘れ物?』
「そうなんです。これ、忘れちゃって。」
机の引き出しから、小さくて可愛いピンクの袋を手に取ると、キラキラしたピンクのダイヤがつい
ている指輪を袋から取り出して左手の薬指に嵌めている。
「彼からもらった、指輪です。これからデートなんで。」
『沙耶ちゃん、彼氏いたんだ。』
「そんなことより。A先輩、聞いてくださいよ。」
『どうしたの?』
「登坂さん、昨日の飲み会、途中からいなくなっちゃって。」
『へぇ、そうなんだ。』
「A先輩も居なくなってましたよね?まさか、一緒でしたか?」
沙耶の口調は穏やかだが、目が笑っていない。ふるふると首を横に振る私。
「抜け駆けしないでくださいね。」
『えっ?』
「お疲れ様です。」
この声は・・・。
「お疲れ様です、登坂さん。」
フロア入口から、遠慮がちに中を覗いている。
「今日もオシャレでかっこいいですね、登坂さん。」
『うん、そうだね。』
「A先輩、負けませんから。」
にっこりとほほ笑んでくる沙耶ちゃん。
私は、チラッと登坂さんに視線を向けた。
あの後、自宅に帰って着替えたんだ。
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薫(プロフ) - ペコさんコメントありがとうございます。作者の全作品を表示してもらえれば、裏恋があると思います。18歳以上の指定になっているのでお気をつけ下さい。 (2017年3月14日 15時) (レス) id: 8420ac05d7 (このIDを非表示/違反報告)
ペコ(プロフ) - 二人の関係を読んで、こちらも読みに来ました。最初からドキドキです!裏恋はどーしたら読めますか? (2017年3月14日 13時) (レス) id: 35090dc084 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - こいどんさん» こいどんさん、コメントありがとうございます。 (2016年10月23日 14時) (レス) id: 8420ac05d7 (このIDを非表示/違反報告)
こいどん - 面白い! (2016年10月23日 14時) (レス) id: edfae532a4 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - いちにーにーごさん» こちらこそ、コメント嬉しかったので。更新頑張っていきますね! (2016年10月23日 1時) (レス) id: 5d982d1368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薫 | 作成日時:2016年10月7日 2時