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@127 ページ28

重い瞼には抗えず、
意識だけは手放さないようにした。





昨夜身を委ねたあの体温は既になくて、
そこにはまだ少しだけ温かいシーツだけ。





1つあくびをしてから瞼を開けると
開かれたカーテンからの光に思わず目を庇った。





ゆっくりとベッドを降り、服を着てから部屋を出ればちょうど目の前を彼が通りかかった。





「あ、A。俺もう仕事行かねーとだから鍵よろしく。」





歩きながら言う彼は、靴を履き振り返ると




私の手に合鍵を握らせた。





「なんだかんだで渡せてなかったからさ。」





そう言い、続けて“今度はAんちの合鍵貰うから、”




なんて言い微笑み、頭を撫で、優しく頬を撫でた後にキスを落とした。





「じゃ、行ってきまーす。」




「……行ってらっしゃい。」




「んな照れんなって 笑」





照れてないし、なんて反論する間もなく広臣は出て行った。





手の中に眠る合鍵をキュッと握りしめ




昨夜の広臣を思い出した。





昨日一瞬だけ見せた、切ないと言われるのだろう表情。





何を思って、何を感じたのだろう。





あまりに一瞬だったそれにいつまでも心を奪われる。






キッチンへ行くと、彼の乱雑な文字が白い紙に並べられていた。





それは、このマンションのセキュリティを通るためのモノ。





そんなにココに来てほしいのね。





「……素直に言えばいいのに。」





思わず、シンとした部屋で呟く。





素直に言えばいいなんて、私が言えることじゃない。





分かっているけれど、




広臣が理解していると感じてしまうと




ついつい素直になれなくて。





ホント、私って何なんだろう。









.

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作者名:PiG Bone | 作成日時:2017年10月24日 20時

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