花の都の真ん中で第7幕 (ページ42)

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夢の後（Ys16目線）ページ42

「ん～…」

眠いような、気だるいような。

ぼんやりとしたまま、目を覚ます。

シーツにほのかに残る、甘い香り。

…あれ、Aどこ行ったんやろ？

トイレやろか？

とりあえず、下着とTシャツ、ハーフパンツを着てリビングへ。

テーブルの上に、メモが残っていた。

　そろそろ帰ります。
　指輪、本当にありがとう。
　ずっと大切にするからね。
　お休みなさい、良い夢を！
A

可愛らしく、それでいて読みやすく綺麗な字。

彼女の人柄が見て取れる。

20時も回ってるし、あんまり遅くなったら親御さんも心配するもんな。

落ち着いたら、電話でもしてみるか。

シャワーを浴び、洗面所の鏡に映った自分を見る。

首筋には、小さな一輪の赤い花。

俺は確かに、さっきまでAと愛を確かめ合ってた。

まるで猛毒でも飲んだかのように、意味が分からない位、彼女を求めた。

絶頂に達した時、潤んだ彼女の瞳が、心なしか悲しげに見えた。

…俺、きっとどこかで不安にさせてたんやな。

恋愛って、毎日が反省の連続やな。

寝室に戻り、乱れたシーツを整え、ベッドにダイブ。

サイドテーブルに置いた指輪を眺めながら、彼女と愛し合った事に思いを馳せるのだった。