突然 ページ41
その後も、ホークスは順調に勝ちを重ね、5月末にはリーグ首位に。
私も、先発やリリーフで3勝1敗。
この勢いのまま、交流戦も優勝だ!
そんなある日、練習を終えて帰宅し、お風呂から上がると、携帯のディスプレイに“不在着信:原樹理”の表示。
電話をかけ、呼び出し音が鳴っても、応答が無い。
「もしもし…?」
何コール目だろうか、やっと樹理の声。
『なかなか出ないから、どうしたのかと思った』
「ごめんA、俺らしばらく距離置かん?」
突然の言葉に、頭を殴られたような衝撃が走る。
『えっ、どうして!?』
「俺、実は今2軍に落とされてん。
チームも負けっ放しで、監督が責任取って辞めたんや。
Aは順調やのに、俺はお前に合わせる顔が無い。
しばらく、お互い連絡取らない方がええやろ」
『そんな…』
「Aも辛いかも知れんけど、俺も辛いねん。
投げたって勝てへんし、チームは最下位。
みんなも次々に怪我して、おまけに監督が辞めて。
色々と、モチベーションが下がってもうた」
『…そこまで言うなら、分かった。
しばらく、電話もLINEもしないでおくね』
「ほんまに、自分勝手な彼氏でごめんな。
せやけど、お互いの為やから、少し時間が欲しいねん」
『じゃあ、私も野球に集中する。
樹理も、強くなってね』
「A…ありがとうな、お休み」
『お休みなさい』
電話を切ると、涙がこぼれた。
ベッドに入って布団を被り、しばらく泣き続けた。
辛いけど、お互いこうするしかなかったのかなぁ?
自分に何度も問いかけながら、そのまま眠ってしまった。
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆみぃ | 作成日時:2019年3月24日 22時