憑依（Ys16目線） ページ21
Aがトウシューズを履く様子を、側で見守る。
かかとの部分を丸めておける事や、リボンはしっかり結ばないと、捻挫等の怪我をする事。
つま先は、バランスを取りやすくする為に、平らになっとるとか、勉強になる。
『樹理、ちょっと手貸して』
「ええよ」
Aの手を取って、立ち上がらせる。
ポワントになると、目線が俺とバッチリ合った。
準備が出来ると、彼女は儚げな顔をした。
♪「白鳥の湖」第2幕 オデットのバリエーション
曲が流れ、踊り始めたA。
頭のてっぺんからつま先まで、優雅や。
羽ばたくような腕の動きは、白鳥そのもの。
そして、表情も細やか。
誰かを愛し、愛される事への不安や、ときめき。
白鳥の姿に変えられた、苦悩や葛藤。
まさしく、オデットが乗り移ったかのような踊り。
「……」
何も言えへん。
それ位、彼女は美しかった。
『樹理、どうしたの？』
「え、あぁ…」
声を掛けられ、やっと正気に戻る。
Aにはきっと、野球にもバレエにも、見る人を引き込む何かがあるんやろう。
気付くと、彼女を抱き寄せていた。
クリスマスより痩せたんちゃうか、って思う位華奢な身体に、マウンドでの力強い姿からは想像出来ないほど、儚げな雰囲気。
何が何でも、守らないとあかん…！
----------------ｷﾘﾄﾘ----------------
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ゆるゆるとした更新になりますが、これからも読んで頂けたら嬉しいです！
評価・コメントも引き続きお待ちしておりますので、何卒よろしくお願いします！
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作者名：ゆみぃ | 作成日時：2019年2月15日 20時
