ほんとうは、（東海/青色さん）

8 ページ8

数年ぶりにあったりょうくんは、何一つ変わっていない。
余裕そうな態度とか、モデルさんみたいなところとか、少し意地悪なとことか。

り｢てつやとは頻繁に連絡とってたん？｣
｢最近は割と…かな｣
り｢俺には連絡してくれんかったのに｣
｢え、｣
り｢…なんて、ごめん。困らせて｣
｢う、うん…？｣

何だろう、何かが違う気がする。
高校時代のりょうくんとは違う、何か。

り｢Aさ、彼氏、おる？｣

｢何で？｣
り｢いいから。おる？｣
｢いない、よ｣

ずっと、りょうくんが好きだから。なんて。

り｢…そっか｣

｢りょうくんは？｣

聞きたくないのに、何故か聞かずにはいられなかった。
返事なんて決まっているのに。

り｢おるよ｣

可愛くて、優しい子、と笑うりょうくんが、そっと前を向く。
まるで、私の事なんか眼中に無い。そう言いたそうに。

｢…りょうくん、かっこいいもんね｣
り｢ありがとう。Aも綺麗になったから、すぐに彼氏出来るよ｣

そんな、心にもないこと、言わないで欲しい。
私にも可能性があるかも、なんて思ってしまう。
叶うはずなんて無いのに。
りょうくんには彼女がいる、その事実は変わらないし、変えられない。
いくらここで私が頑張っても、かないっこないんだ。

り｢もうてつやんち着くよ｣

いつの間にか、信号は青に変わっていた。

━━━━━━━━━━━━━━━

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す