2月14日 ページ20
Aside
2月14日
今日やっと出張が終わって家に帰ってきた。
出張に行く時に日記は置いていったので、前のページを見ると最後の日付は丁度2週間前になっていた。
今日帰ってきてお風呂に入ったあと、Nakamuが夕食を準備して待っていてくれた。
鍋焼きうどんだった。
彼と食べるご飯なら、何の料理でも疲れきった体と心に染み渡ると思うけど、結構好きな料理だったから余計に疲れが吹き飛んだ。
……1つ大事なことを記さないといけない。
彼が私との約束を…誕生日を忘れていた。
うどんが出てきた時点で少しだけその考えが頭をよぎった。
私の1番の好物はうどんじゃない。
普通に材料がなかったのかもしれないと思って、食べ終わった後に冷蔵庫を開けてみた。
…………材料は全てあった。
他にも理由がある。
彼は毎年欠かさずに私に花を贈る。私が花を飾るのが好きだという事を知っていたから。
今はもう夜の12時。お互い自分の部屋に戻っている。
もう今日は私の誕生日じゃない。ただこれは最近雪が多く降っていたから、単に外に買いに行けていない場合もある。
決定打は、彼が
「今日何かAと予定あった気がしたんだけど
何だかわかる？」
と聞いてきたからだった。
その言葉が頭の中でひとつの考えを導き出してしまった。
それを聞いた時、全身の力が抜けるような感覚があった。
彼を不安にさせるような顔をしていたのだろう。
すぐに「…顔色悪くない？大丈夫？」と心配した声をかけてくれる。
『…うん、大丈…夫、少し…疲れただけ。何も…、無いと思うよ、明日定期検診があるっていうのを勘違いしてるんじゃないかな、、』
と、今できる精一杯の笑顔で返す。
正直、そこから先彼が何を話していたのか上手く思い出せない。
……彼に言えなかった。たとえ言えたとしても、忘れた記憶は翌日にはもう消え去っているというデータがある、と主治医に言われていたから。
…違う。それは言い訳だ。
彼に言うのが怖かった。彼がどんな顔をするのか容易に想像できたから。
きっと言うのも言わないのも最適解じゃない。
それでも最適解を探さずにはいられなかった。
分かったのは、確実に彼の病状が進行していること、
自分の手が震えていて、上手く字が書けないという事だけだった。
続く (更新停止中)
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ルア - 琥珀さん» いえいえ！全然大丈夫ですよ！りょうかいです！笑 (2022年8月4日 10時) (
レス) id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - ルアさん» 古の作品まで読んでいただいてありがとうございます…!笑すみません、収拾がつかなくなってしまったので今のところ更新の予定は無いです…＞＜ (2022年8月3日 22時) (レス) id: a1fbf8f7d1 (このIDを非表示/違反報告)
ルア - こちらも読んで日記を通じて彼が忘れていってしまうのがとても切なく書かれているのがすごい好きです。こちらはもう続きはないのでしょうか？いつか書きたいなと思った時に書いてくれるととても嬉しいです！ (2022年8月3日 19時) (レス) @page20 id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀 | 作成日時：2020年10月17日 11時
