不登校ちゃんと闇深優等生ちゃん「オリジナル」 (ページ32)

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「はーいっ」

そこには、桜が荷物を持って立っていた。

「よーこそっ！」

そういうと

「お邪魔しまーす！」

そういって入ってきた桜。

リュックと大きなバックを抱え、私の部屋に入りカードキーをおくと荷物もおいた。

「あとどれくらい？遊べるの。」

「んー、あと30分ぐらいだねぇ。」

私がそういうと桜が私の部屋に置きっぱなしにしていたカードゲームを取り出し、ならべ始めた。

コンコンコンっ

３回の急ぎ目のノックが聞こえた。

たぶん、心だろう。

「どーぞっ」

開けると心…と横に咲来がいて、こっそり隠れていたことから心が２回ノックして最後を咲来がたたいたのだろう。

心も咲来も私の部屋の床に荷物を置き、ベッドの上で三人で集まり、残りの時間をカードゲームで楽しんだ。

「んー、もいっかいっ！！」

「えー、桜が弱いんだよぉ」

「っ！？ひど～いっ！みんなが強いっ！」

・・・こんな時間が一生続けばいいのに、そんな夢物語が続くわけもなく、小さく時計の秒針は動き続けていた。

「あーーーーっ」

小さくそんな言葉が漏れる、ここはもう、地区大会の会場なのだ。

手が震える、ここまで来て怖いってちゃんと思う。

急に楽譜が飛んだらどうしよう。

急にパニックになっちゃったら、どうしよう。

そんなことばかりで、みんなと話すとき、全員笑顔だけどどこかやっぱり緊張している。

そんな様子がしっかりと伝わってきてうまいように伝染していく。

私の体はやっぱりすごいのかもしれない。

舞台袖に入ると前の団体の演奏が自分たちのよりきれいに聞こえてくる気がする。

スポットライトの木漏れ日が視界に入ってまぶしい。

県大会より大きな大きな会場で暗闇にまぎれた人の形がぼんやりと見える。

「わぁぁぁ…」

前の団体が終わって完成のような拍手が流れ、私たちの前のドアが開く。

私は、深く、深く深呼吸して１２分間を迎える準備をした。

「せーのっ！」

「「絶対金賞っっ！！」」

部長の掛け声に合わせみんなでそういう。

１２分は無限じゃない。

絶対いつか終わってしまう１２分、だからこそ、今の私にできる最前線を。

眩しい、ライトの中私は楽器を持ってステージに立った。