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「ん〜♪」
私、桜は夏休みの課題を進め終わり自分の時間ができた。
何をしようかと考えながら、ゆっくりとパソコンを開く。
数日後に迫ってきた地区大会。
不安なことはいっぱい、だけど、楽しいから別にいいかなって。
パーカッションは音が通りやすい。それはシンバルやカスタネットも例外ではない。
ほかにはない音、高かったり低かったりそんな感じだし同じ楽器の人は一人とていない。
それが一番プレッシャーなのだ。
パーカッションは地雷だけど一番自分でも思う言葉。
『たたけば音は出る』
だからこそ、一年生の中で一番今回のコンクールも出る箇所が多い。
複雑なリズムだってたたいてる。
だからこそ、私の中には、誰かよりも頑張らなくちゃってそう思ってる。
あの時のようにならないために。
私は私として生きるために。
「桜ちゃんはいいよね、何もしなくても天才で」
「桜ちゃんか〜私あんまり好きじゃないんだよね。努力なんてしてなさそうじゃん？」
どこかの物陰でこっそりと言われた陰口。
それを聞いてしまった時の心臓の速さと震えた手の感覚は今でも忘れられない。
「あーあ、嫌なこと思い出しちゃったなぁ＿＿」
にじんでくる視界、こぼれようとするそれを止めるために手の甲で目をこする。
私だって、努力してるのになぁ。
みんな、天才だって天才だって持ち上げるけどそんなことないのになぁ。
「私は、私じゃダメなの？何にも持ってない桜で生きたらいけないの？」
小さく小さくあふれた言葉。
何も持っていない、天才じゃない、努力をしまくっている、桜じゃいけないのかなぁ。
なんで、天才に天才のように見える私に育っちゃったのかなぁ。
「私は、みんなと同じだよ？努力なんて死ぬほどしてるに決まってんじゃん。」
何か、気を紛らわそうと思って、自分の名前を検索する。
「桜の、花言葉…？」
桜の種類によって何個も何個も花言葉があった。
「…『私を忘れないで。』…」
フランス語の花言葉はそういうらしい。
なんとなく、日本語のどんなきれいな花言葉より気に入ってしまった。
「がんばろ、地区大会も。」
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作者名：こんわた | 作成日時：2023年8月24日 18時
