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「あの___なんで、震えてるの?握りすぎ?」

その言葉を聞いて、一回頭が真っ白になる。

何も一瞬考えられなくて、適当な笑顔のまま固まる。

なん、なんて、いうのが、正解?

私は、固まったま、時がたつのを感じながら待つことしかできない。

「合奏中、たまに手が震えてるから、楽器が重いのかなーってそれか緊張してるとか?」

私は、なんて答えていいか、わからなかった。

女性恐怖症やそれによる軽いパニック症状は、べつに病院行ったわけじゃないから…

私自身も断言できない。

なんて言ったらいいかわからず、ただ、ただ、愛想笑いのようにしていた。

すると、奥のほうから先輩を呼ぶ声がした。

その声に合わせて、先輩が、そっちのほうへ向かう。

私は、楽器を握りしめて、ゆっくりと息を整える。

「よかったのかな。」

上を向いてぼそっとつぶやいた。

確かに、ばれないためには最善の手だったって思ってる。

でも、また、一人で抱え込んでよかったのかな。

いや、いいんだよ。

私が頑張ればいいからさぁ。

そっか、いいのか。

なぜか納得してしまう自分がいる。

残りの楽器の片づけを終え、私はロッカーからリュックを取り出し背負う。

「桜ーかえろー。」

「うんっ。」

青い、青い空の中。

あの中に消えていけたらいいのにな…

なんて。

「ハハッ」

「なに?」

「ううん。なんでもない。」

ちょっとおかしいなぁ。わたし。

私はもう一回青い空を見つめて、小さく口の中で言葉をかみ砕く。

「今日も生きてるよ。

私、生きてるよ。」

「桜ー、コンクール頑張ろうね。」

そういうと、かわいい桜の顔が私のほうを向く。

「うんっ!!」

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作者名:こんわた | 作成日時:2023年8月24日 18時

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