14 ページ18
「あの___なんで、震えてるの?握りすぎ?」
その言葉を聞いて、一回頭が真っ白になる。
何も一瞬考えられなくて、適当な笑顔のまま固まる。
なん、なんて、いうのが、正解?
私は、固まったま、時がたつのを感じながら待つことしかできない。
「合奏中、たまに手が震えてるから、楽器が重いのかなーってそれか緊張してるとか?」
私は、なんて答えていいか、わからなかった。
女性恐怖症やそれによる軽いパニック症状は、べつに病院行ったわけじゃないから…
私自身も断言できない。
なんて言ったらいいかわからず、ただ、ただ、愛想笑いのようにしていた。
すると、奥のほうから先輩を呼ぶ声がした。
その声に合わせて、先輩が、そっちのほうへ向かう。
私は、楽器を握りしめて、ゆっくりと息を整える。
「よかったのかな。」
上を向いてぼそっとつぶやいた。
確かに、ばれないためには最善の手だったって思ってる。
でも、また、一人で抱え込んでよかったのかな。
いや、いいんだよ。
私が頑張ればいいからさぁ。
そっか、いいのか。
なぜか納得してしまう自分がいる。
残りの楽器の片づけを終え、私はロッカーからリュックを取り出し背負う。
「桜ーかえろー。」
「うんっ。」
青い、青い空の中。
あの中に消えていけたらいいのにな…
なんて。
「ハハッ」
「なに?」
「ううん。なんでもない。」
ちょっとおかしいなぁ。わたし。
私はもう一回青い空を見つめて、小さく口の中で言葉をかみ砕く。
「今日も生きてるよ。
私、生きてるよ。」
「桜ー、コンクール頑張ろうね。」
そういうと、かわいい桜の顔が私のほうを向く。
「うんっ!!」
9人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こんわた | 作成日時:2023年8月24日 18時